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元中日のビシエドが横浜DeNA入団会見
元中日のビシエドが横浜DeNA入団会見

なぜ横浜DeNAは中日時代に“致命的欠陥”を露呈していたビシエドを獲得したのか…「FA取得で日本選手扱い」「守備力も含めた総合的な活躍に期待」「ハマスタの相性」

 横浜DeNAと今季の選手契約を結んだ元中日のダヤン・ビシエド内野手(36、キューバ)が22日、横浜市内の球団事務所で入団会見に臨んだ。中日で9年間プレーし、2018年には首位打者と最多安打のタイトルを獲得したビシエドは、極度の打撃不振に陥って昨季限りで退団。中日時代には、立浪和義前監督(55)から「インコースのストレートが打てない」と致命的な欠点を指摘されていたビシエドを、なぜ横浜DeNAは後半戦の巻き返しへ向けて緊急補強したのか。

 「36歳になるが衰えはまったく感じていない」

 新天地での第一声は「ざーす」だった。
 横浜DeNAと今季の選手契約を結んだと緊急発表されてから3日。上下黒のスーツ姿で球団事務所内の会見場に姿を現したビシエドは、9年間所属した中日時代に覚えた日本語による挨拶の短縮形を名刺代わりにしながら登壇した。
 来日するのは中日を退団した昨年10月以来、約9カ月ぶり。NPB通算で958試合に出場して打率.287、139本塁打、549打点をマーク。2018年に.348で首位打者、178本で最多安打のタイトルを獲得しているビシエドは、メキシカンリーグのドスラレドス・オウルズを経て横浜DeNAに加入した喜びをこう語った。
「日本にまた帰ってこられる機会をベイスターズに与えていただいて、本当にうれしく思います。ベイスターズは本当に強いチームなので、声をかけていただいたときはうれしく思いました。しっかりと期待に応えられるように頑張りたい」
 入団会見に同席したチーム統括本部の萩原龍大本部長によれば、メキシコでプレーしていたビシエドとの契約が合意に達したのは「6月の頭くらいだった」という。ビザの取得を含めた所定の手続きなどを経て、正式発表が今月19日までずれ込んでいた。
 早い段階からビシエドの獲得に動いていた理由を、萩原本部長はこう明かす。
「引き続き打線について起爆剤となる補強が必要ということで、左のフォード選手を獲得したのに続いて、右のビシエド選手にもぜひとも私たちの仲間になってもらいたい、ということで獲得しました。打撃はもちろんですが、守備も非常にうまい。打撃だけを期待するのではなくて、総合的に活躍してくれると期待しています」
 打撃面での実績に加えて、2020年、2021年とゴールデングラブ賞を受賞。横浜DeNAでもチームメイトになる京田陽太内野手(31)から「ビシエドが一塁にいると、安心して送球できる」と称賛された守備にも大きな期待が寄せられた。
 もっとも、最大の理由はビシエドが2023年に国内フリーエージェント権の取得条件を満たし、昨季から日本人選手扱いとなった点だろう。萩原本部長が続ける。
「それ(日本人選手扱い)がすべてとは思いませんけれども、かなり大きなウエートを占めています。ウチの外国人はピッチャーがすごくいい状態で、頼っている状況です。一方で打者がほしいなかで、日本人枠であるということは非常に重要でした」
 今季の横浜DeNAではアンドレ・ジャクソン(29、米国)とアンソニー・ケイ(30、同)、そしてトレバー・バウアー(34、同)が先発ローテーションに入っている。対照的に打者はタイラー・オースティン(33、同)が右膝蓋腱炎で6月6日に登録を抹消され、選手間投票の一塁手部門で選出されていたオールスター戦も辞退した。
 主砲のオースティンを欠いた打線は得点力不足に陥り、10位に終わったセ・パ交流戦では12球団ワーストのチーム打率.205。今月に入ってからは不調の筒香嘉智外野手(33)が二度目の二軍落ちしている状況で長打力のある打者の補強が急務となり、昨季後半に所属し、ポストシーズンでの大活躍で日本一獲得に貢献した左のマイク・フォード内野手(33、米国)と今月8日に再契約した。
 もっともこの段階で、ビシエドとも合意に達していた。代打を含めて右打者も大砲不足に陥っている状況で、日本の野球を熟知し、実績も十分で、なおかつ外国人枠にとらわれないビシエドは、首位・阪神と9.5ゲーム差の2位から逆襲に転じる後半戦、そしてクライマックスシリーズへの出場権を得る戦いへ打ってつけの補強となる。

 

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