• HOME
  • 記事
  • 野球
  • 「9人左打者を並べた時点で中日の負け」井上采配が裏目に出た横浜DeNA藤浪晋太郎の5回1失点のNPB復帰戦をどう見る?…降板後失点の阪神時代“魔のパターン”は払拭できず白星逃すも
藤浪が横浜DeNA移籍初戦で5回1失点の好投
藤浪が横浜DeNA移籍初戦で5回1失点の好投

「9人左打者を並べた時点で中日の負け」井上采配が裏目に出た横浜DeNA藤浪晋太郎の5回1失点のNPB復帰戦をどう見る?…降板後失点の阪神時代“魔のパターン”は払拭できず白星逃すも

 阪神からメジャーを経て横浜DeNAに途中移籍した藤浪晋太郎(31)が17日、バンテリンドームでの中日戦に先発し5回86球を投げて5安打5奪三振1四球1失点の力投を見せた。2022年9月23日の広島戦以来、3年ぶりのNPB復帰戦に中日は、「ケガ人を出したくない」との理由で左打者を9人並べたがそれが裏目に出た。投球フォームがコンパクトに変わり最速156キロを示したストレートにカットボールを有効に使うなど変貌を遂げていた一方で、阪神時代からあった「藤浪の降板後の投手が打たれる」というチームの魔のパターンは払拭できなかった。2番手の中川虎大(25)が上林誠知(30)に一発を浴びて藤浪に勝ちはつかなかった。なお試合は延長12回に横浜DeNAが勝ち越して5-4で4連勝。2位の巨人に0.5ゲーム差と迫った。

 暴投もあったが四球はわずか1「コンパクトになった投球フォーム」

 中日のスタメンが発表されるとバンテリンドームが唖然となった。先発の松葉が左腕ということもあって、なんと1番から9番まで全員が左打者。スポーツ各紙が報じた試合後の井上監督の談話によると「ケガ人を出したくない。控えメンバーを出す策しかない」と説明している。藤浪の阪神時代からの悪癖は右打者にボールが抜けてくるもの。死球の危険があり、実際、6日のイースタンリーグの巨人戦でも右打者に2死球を与えていた。そのため中日は、樋口、駿太、土田、宇佐見と4人も、控えメンバーを起用せざるを得なくなった。
 現役時代に阪神、ダイエー(現ソフトバンク)、ヤクルトで先発、抑えで活躍した評論家の池田親興氏は、その中日の戦略に否定的だった。
「左を9人並べた時点で中日の負け。藤浪は右打者への抜け球を気にすることがなくなりストレスなく余裕を持ってマウンドに立てたと思う。攻略したいなら意識せず右打者を起用すべきだ。先を危惧するより、1勝を積み重ねないとクライマックスシリーズ進出はない。また藤浪は阪神時代に比べて、際どいボールを笑顔で審判に確認するなど表情に余裕があった。アメリカの経験に加えて、右打者がいないという余裕がそういう表情にさせたんじゃないか」。
 スポーツ各紙の報道によると、藤浪も「勝手に嫌がってくれる分には、好きなだけ嫌がってくださいという感じ」と右打者がいないことを歓迎していた節がある。
 1回にいきなり1点の援護点をもらった藤浪は、その立ち上がりに一死から樋口に一、二塁間を破るヒットを許すも、上林を154、153、152キロのストレートで追い込み最後はボールゾーンに落とすスプリットで空振りの三振に仕留め、さらにボスラーを1球で一塁ゴロに打ち取り、無失点で切り抜けた。
 藤浪と同じく今季の途中移籍組で、ここバンテリンを本拠地としていた元中日ビシエドの移籍1号でリードが2点に広がった2回には、阪神時代の元同僚である板山にバントの構えから揺さぶられてライト前ヒットを許して続く駿太にはエンドランを決められ機動力で無死一、三塁とされた。
宇佐見のショートゴロの間に1点を失うも後続は断ちリードは守った。
 打順が二回り目となるとカットボール、ツーシームを配球に加え始めた。一死から樋口への3球目のカットボールがボールと判定されると、笑顔で「外れていますか?」のジェスチャー。ツーシームでセンターフライに打ち取り、上林はアウトハイのストレートで空振りの三振に仕留めリズムに乗り始める。
 4回には先頭のボスラーに初めて四球を与え、続く板山を追い込んでからスプリットが引っかかって、とんでもないワンバウンドとなり、戸柱が止めることもできず走者が進んだ。だが、藤浪には苦笑いで「もったいないな」と自答する余裕があった。
 フルカウントから板山は空振りの三振。続く駿太のボテボテの投手ゴロが一瞬間に合わずセーフとなり、一死一、三塁。ここから同点にされ、崩れてもおかしくなかったが、宇佐見を5-4-3のダブルプレーに斬ってとり、満面の笑みを浮かべて戸柱のプロテクターをポンポンとたたいた。

 

関連記事一覧