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井上尚弥と対戦予定だったWBA世界フェザー級王者ニック・ボールとサム・グッドマンの世界戦はボールの判定勝利(写真・ロイター/アフロ)
井上尚弥と対戦予定だったWBA世界フェザー級王者ニック・ボールとサム・グッドマンの世界戦はボールの判定勝利(写真・ロイター/アフロ)

「井上尚弥の相手じゃないね」“ドタキャン”グッドマンに苦戦したWBA世界フェザー級王者のニック・ボールに大橋会長が失望する

 プロボクシングのスーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(32、大橋)の所属ジム会長である大橋秀行氏(60)が20日、都内での「Lemino BOXING PHOENIX BATTLE 144」(10月21日・後楽園)の発表会見後の囲み取材で16日(日本時間17日)にサウジアラビアでWBA世界フェザー級タイトルを防衛したニック・ボール(28、英国)について「井上の相手じゃないね」との厳しい感想を明かした。ボールは目の上のカットで井上との試合を2度ドタキャンしたサム・グッドマン(26、豪州)に3-0判定で勝利したが決め手に欠ける試合内容。当初は12月27日にサウジで井上の挑戦を受ける予定だったが、井上陣営がフェザー転向を先送りしたことで白紙に戻っていた。また10月21日に日本フェザー級王座の防衛戦を行うWBA同級9位の阿部麗也(32、KG大和)は井上に代わってボールへ挑戦したい意向を示した。

 

左端が阿部麗也

 「(12月にサウジで)やんなくてよかったね」

 そりゃそうだ。元WBA、WBC世界ミニマム級王者の眼力は鋭かった。
 大橋会長に両者共に井上尚弥との因縁があるボールvsグッドマン戦の感想を尋ねると即答した。
「井上尚弥の相手じゃないね。やんなくてよかったね」
 9月14日に名古屋でWBA世界同級暫定王者、ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)との防衛戦を控えている井上は、その最強挑戦者を蹴散らすと、当初、12月27日にサウジアラビアの「リヤドシーズン」で1階級上げてボールのフェザー級のWBAタイトルに挑戦する予定だった。だが、来年5月に予定されているWBC&IBF世界バンタム級王者、中谷潤人(M.T)とのビッグマッチはスーパーバンタム級で行われるため、階級の上げ下げが難しいと大橋会長が判断。ボール戦を断り、フェザー級転向を先送りした。
「階級を上げて、下げてはそんな甘いもんじゃない。ボールが強い、弱いじゃなく、階級を上げる、下げるの問題で私が判断した」と大橋会長。
「まだ(中谷戦の)先のことは…」と大橋会長は言葉を濁したが、中谷戦後にはフェザー級へ上げて5階級制覇を狙う予定で、その場合、ボールがベルトを保持していればターゲットの一人となる。しかし、大橋会長の目にはボールは井上が挑戦するにふさわしい強敵には見えなかった。
 サウスポーのグッドマンにジャブで距離をとられてボールは攻めあぐんだ。突貫小僧のボールは突っ込んでいくが、ステップワークで翻弄され、逆にボディショットを浴びた。途中、左アッパーから変化をつけたが、つかまえることができず、4連打、5連打、6連打と回転力を生かしてパンチを浴びせる攻勢点で、ポイントはリードしたものの、ダウンシーンはおろか、クリーンヒットでぐらつかせるシーンさえ作ることができなかった。昨年12月24日、今年1月24日と2度も左目上のカットで井上との試合をドタキャンしたグッドマンが善戦したとも言えるが、彼もまた決定打はなくボールの長所を消したにすぎない。ボールとモンスターとの対戦を想定しても、井上が窮地に追い込まれるシーンは想像もできなかった。井上にグッドマン戦と同じく空回りさせられ、カウンターや、もっと強烈なボディショットを浴びてキャンバスに沈められるだろう。
 ボールは、試合後、井上尚弥の名前は口にせず「ビッグネームと対戦して統一戦に挑むことが目標」と宣言していたが、ベルトを統一して成長した姿を見せなければモンスターの対戦候補として浮上してこないかもしれない。
 そのボールを虎視眈々と狙っているのが日本フェザー級王者の阿部だ。
「井上選手との試合を見たいなとは感じなかった。むしろこっちがやりたい。あれなら全然いけますよ」

 

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