
「ボクシングの最高傑作を披露」「すべてにおいて完全にアフマダリエフを上回る」海外メディアは井上尚弥の判定勝利をダウンシーンなくとも大絶賛
プロボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(32、大橋)が14日、名古屋のIGアリーナでWBA世界同級暫定王者のムロジョン・アフマダリエフ(30、ウズベキスタン)と防衛戦を行い3-0判定勝利した。2019年11月のノニト・ドネア(フィリピン)戦以来となる6年ぶりの判定勝利で、ダウンシーンはなかったが、固いガードとステップワークで最強挑戦者のパワーを封じ込み、緊迫感のある12ラウンドで1万6000人の観客を沸かせ「100点」と自己採点をした。世界戦は26連勝となり、ジョー・ルイス(米国)、フロイド・メイウェザー・ジュニア(米国)に並ぶ世界最多記録となり、海外メディアからも称賛の言葉が並んだ。
「接戦でもドラマチックでもなかった」
世界を驚かせる12ラウンドだった。連続KOは11試合でストップしたが、高度なスキルを駆使して、アフマダリエフのパワーを封じ込め、危ないシーンはただの一度もないまま、スピードとテクニックでポイントを重ねて、3-0(118-110、118-110、117-111)の判定で勝利した井上を海外メディアが称賛した。
辛口で知られる米ボクシング専門サイトのBoxing News 24は「井上がアフマダリエフを支配しすべてのベルトを保持」との見出しを取り「1回からMJ(アフマダリエフ)は抜け出せなかった。井上が的当てを狙うようにガードから右ストレートを放つ一方で彼はサウスポーからジャブを出していた。3回までにMJは根性と希望のみを抱き、賢さなく、頭を動かさずパンチを受けていた。井上の動きはどうだろう?アフマダリエフを凍り付かせる下へのフック、頭をのけぞらせるアッパーカットがあった。9回までにMJは出血し、途方に暮れたかのようになった」とレポートした。
「5回にまずまずの右フック、6回にいくつかのボディーショット、そして12回に井上をよろつかせた瞬間があった。しかし粉飾はしないようにしよう。これは些細なものだった。試合の残りは、井上がテンポを保ち、動き続け、痛めつける時、楽に進められる時を選んでいた。接戦ではなくドラマチックでもなかった。1人の選手がレベルで他を上回っていた」と続けた。
また「井上は倒すことを狙ってさえいなかった。彼はプレッシャーを掛け、体力を使い切り、もしかしたらMJを倒すことができたかもしれない。その代わりに彼は試合を楽しみ相手を詳細に分析し、リスクを取らずに容易に勝てることを見せつけた。流れるようにコントロールするチャンピオンの戦いで、それでもなお残忍さがあったように見えた」とも記した。
米スポーツ専門局ESPNは「井上は力強く、素早い左ジャブでアフマダリエフの攻撃を抑え、最初の攻防から試合をコントロールした」と絶賛。
「試合のリズムをつかむと、井上のフットワークが前面に押し出され、アフマダリエフの周りを動きその間にジャブを振りまいた。井上は頭とボディーを同じだけ狙い、やがてそれがダメージとなり相手を疲れさせた。アフマダリエフは戦いの中で強力な右を放とうとし、数回ヒットさせる場面もあったが、大抵は井上がそのパワーを避ける術を見出していた」と続けた。