
「何でも好きにやっていいとMLB機構の許可を取っていた」今季限り引退カーショーの本拠地ラスト登板での「粋な演出」に采配ミス続きで批判を浴びていたロバーツ監督の評価がV字回復?!
今季限りの引退を発表したドジャースのクレイトン・カーショー(37)が19日(20日)、本拠地のジャイアンツ戦でラスト登板を飾った。1-2で迎えた5回に先頭打者のラファエル・デバース(28)を見逃しの三振に仕留めたところで降板したが、その裏に大谷翔平(31)の52号逆転3ランが飛び出して黒星が消え、6-3の勝利でチームはポストシーズン進出を決めた。話題になったのは、試合前にナインがすぐに守備につかなかったことや、交代のタイミングなどの演出。MLB機構から「何でも好きにやっていい」との許可を得ていて、継投ミスなどでファンからの評判がガタ落ちだったデーブ・ロバーツ監督(53)の評価がV字回復した。
ナインが守備につかない粋な演出
91球目だった。
カーショーが5回先頭打者の3番、デバースにカウント2-2からアウトローへ投じた143キロのストレートは明らかにストライクゾーンより低いボール球だったが、ストライクがコールされて見逃しの三振。
ここでロバーツ監督が静かにベンチを出た。キケ・ヘルナンデスが、記念ボールをカーショーに手渡し、捕手、内野手がマウンドに集まった。そしてロバーツ監督と、握手をかわして抱擁。満員のドジャースタジアムにスタンディングオベーションが続く。
カーショーは帽子を脱いで手をふり、エレン夫人ら、家族の姿をネット裏に見つけるとハグのポーズ。ジャイアンツの選手達もダグアウトから拍手を送った。
カーショーコールは鳴りやまない。試合は止まったまま。
カーショーはダグアウトで、大谷や山本らと抱擁をかわして、もう一度、ベンチ前へ出てきて、帽子を脱ぎ、大声援にこたえた。
「ドジャーブルー」など複数の映像メディアによると、ロバーツ監督は、デバース一人で交代させた理由をこう説明した。
「5回まで投げさせるつもりだった。だが、試合が進むにつれて、彼の状態と球威を見ながら、過度のストレスがかからないように気を配った。試合に流れを読みつつ勝つことも忘れてはならなかった。4回の展開を見て、最後にアダメズを三振に終わらせた時、最後の打者として、デバースと対戦できたらと願っていた。左対左を彼に任せ、そこからブルペンに次の打者を備えさせる考えだったんだ」
4回にウィリー・アダメズを空振りの三振に仕留めた後にベンチに戻ってきたカーショーに、ロバーツ監督は「あと一人いけるか」と声をかけたという。
「彼に最後だと感じてもらたいたかった。持てる力のすべてを出し切り、ファンに最高の瞬間を届ける。それが彼にふさわしい花道だと思った」
カーショーは先頭打者ホームランを許すなど4回までに2失点したがゲームは作っていた。それだけに交代のタイミングは難しかったが、ロバーツ監督は、しっかりと、花道を見極めていた。
「最後にデバースを三振に仕留め、ファンへ称賛に値する完璧な時間を与えてくれた。これ以上ない幕切れだった。彼の目に涙があった。(マウンド上での)抱擁は素晴らしい瞬間だった」と自画自賛した。