
不発“2三振”に終わった“56発男”シュワーバーが大谷翔平を語る「早いカウントで捉えねば」「佐々木は質のいい投球」…敵将とMVP2度ハーパーは「素晴らしい投球に敬意を表して次へ」
ドジャースの大谷翔平(31)が4日(日本時間5日)、完全アウエーの敵地でのフィリーズとのディビジョンシリーズ第1戦に「1番・投手兼DH」で出場し、守備の乱れなどで3失点はしたが、6回を3安打9奪三振の圧巻の投球内容で歴史的な勝利を手にした。“56発男”のカイル・シュワーバー(32)、2度MVPのブライス・ハーパー(32)は大谷に対して、それぞれ2三振の不発に終わり、完敗を認めると共に巻き返しを誓っていた。
「もっといい仕事をしなければならなかった」
大谷が強力フィリーズ打線の前に仁王立ちだ。
2回こそ「スプリットを打者2巡目以降に置きたい」(映像メディア「ドジャーブルー」の試合後会見より)と考えていた中でのストレートを狙い打ちされて3失点した。
だが、J.T・リアルミュートに右中間をゴロで破られたタイムリー三塁打は、ライトのテオスカー・ヘルナンデスの追いかけ方が緩慢でストップできなかったもの。本来であれば二塁打止まりでハリソン・ベイダーに犠飛を許した3点目は失っていなかった。
だが、3回以降に大谷は立ち直り得点を許さない。特に今季の首位打者の1番、トレー・ターナ、本塁打タイトルを争った2番のシュワーバー、MVPを2度獲得している3番のハーパーをパーフェクトに抑え込んだ投球は、圧巻だった。
6回を投げきり3安打9奪三振3失点のクオリティスタート。7回にミスをしたテオスカー・ヘルナンデスの汚名挽回の逆転3ランが飛び出し、9回を佐々木朗希が160キロを連発させて無失点に抑えてメジャー初セーブをマークし、大谷がポストシーズンでは、1918年のベーブ・ルース以来となる二刀流での歴史的な1勝を手にした。
「緊張感はありましたが、それよりも集中して試合に入っていけた。全体的に楽しめました」
打つ方では、4打席連続三振と音無しだったが、デーブ・ロバーツ監督は、それをマウンドには持ち込まない「切り替え能力」を称えた。
「彼は、実質的に2つの人格を持っているかのような存在で、ひとつの試合の中でそれを同時にこなしている。打撃では苦しんだが切り替えて投手に徹した。そんな感情のコントロールのできる人間が他にいるだろうか。6回まで投げ切りチームに勝利の望みをつないでくれた。だから我々はこれからも歴史の証人であり続けるのだ」(映像メディア「ドジャーブルー」の試合後会見より)
そして何よりショックを受けていたのがフィリーズの看板打者2人だ。ナ・リーグの本塁打争いで、1本差で大谷を振り切った56発男のシュワーバーは、MLB公式サイトによると、5回二死一、二塁で、空振りの三振に終わった場面を悔しがった。
「個人的には得点圏に走者がいたところでもっといい仕事をしなければならなかった。大谷がマウンドにいて、どんな状況だったか忘れてしまったが、得点圏に走者がいてカウント3-2とした(5回の)場面では、早いカウントでボールを捉えるか、粘るかして、もっといい仕事をしなければならなかった」