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阪神の藤浪晋太郎がアスレチックスの入団会見を行った。流暢な英語スピーチが評判に(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)
阪神の藤浪晋太郎がアスレチックスの入団会見を行った。流暢な英語スピーチが評判に(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

阪神の藤浪晋太郎がアスレチックスに入団した舞台裏とは?…4年前の2軍落ちのタイミングからマーク

 阪神からポスティングシステムを利用してアスレチックスと契約した藤浪晋太郎(28)が17日(日本時間18日)現地で入団会見を行った。流暢な英語スピーチが話題になったが、アスレチックスが藤浪獲得に至った舞台裏に迫った。

 マーケティングの狙い

12月26日から、およそ3週間に渡って豪雨に見舞われたベイエリア。
 阪神からポスティングシステムを利用して大リーグ移籍を目指した阪神の藤浪が、正式契約を前にオークランドを訪れ、アスレチックスのマーク・コッツェイ監督らに街を案内してもらったときは、ここ何年かで最悪の天候だったよう。
「1週間ぐらい前に来て、たくさんいろんなところを見せてもらいました」と藤浪。「気候もいいですし、すごくいいところだなと思っています」と続けたが、本音では、“聞いていた話と違う”ではなかったか。
 ところが、そんな天候が一変。入団会見が行われた17日は、朝からカリフォルニアらしい、雲ひとつない青空が広がった。

 球団事務所の会見場に用意されたおよそ50席の椅子はほぼ埋まり、両横には座りきれなかった人が溢れた。冒頭、「ワォ。こんなこと、久しくなかった」とデビッド・フォーストGM(ゼネラルマネージャー)は目を丸くしたが、実際、アスレチックスがオフに会見を開くような契約を交わすこと自体、稀なこと。地元記者の1人も、「そもそも、ここで会見したことなんてあったかな?」と首を傾げた。
 もっとも、そんな光景に球団のマーケティング担当者は、ニンマリか。1980年代後半、マーク・マグワイア、ホセ・カンセコらを擁し、圧倒的な強さを誇った時代からアスレチックスを取材し、2000年代にはマリナーズの番記者も務めたジョン・ヒッキー記者が、こんな見方をしていた。

「この契約に、マーケティング的な意味合いがないわけではない。ベイエリアには多くの日本人が住む。サンフランシスコは日本人にとっても馴染みのある観光地。藤浪のような知名度のある選手の獲得は集客につながり、日本とのビジネスチャンスが生まれるかもしれない」

 そうした選手の獲得は悲願だったが、資金力のない彼らにはハードルが高い。大谷翔平(エンゼルス)の獲得は端から無理としても、彼らの予算では、日本である程度知られた選手を獲得しようと考えても、スタートラインにさえ立てない。2011年に松井秀喜と契約したが、すでにキャリアの終焉に近づいていた。
 よって、藤浪のような選手の獲得は、彼らにとって降って湧いたようなチャンス。早速、4月1日のエンゼルス戦のチケットを買うと、藤浪のTシャツがもらえるプロモーションを告知した。
 もちろん、活躍しなければ、そうした盛り上がりは一過性で終わる。戦力にならなければ意味がないが、フォーストGMは、「藤浪は、通用する」と自信ありげ。先発3番手を期待する先発投手の年俸としては相場の半額以下だが、アスレチックスの基準では破格の325万ドル(約4億1700万円)という契約がその言葉を裏付ける。
「あの真っ直ぐとスプリットのコンビネーションは魅力だ。特に昨季後半から、スプリットを制球できるようになったことで、確信が持てた」

 

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