現地取材した「ドバイ野球って何だ」?TBS番組で話題の新プロ野球リーグはオイルマネーに頼らず“8ラン”もありの奇想天外ルール…参戦中のムネリンは「僕が一番楽しんでいる」
中東・ドバイの砂漠に新プロ野球リーグ「Baseball United」が誕生している。“8ランホームラン”や三振一つで攻守が切り替わるなど、ゲーム感覚の常識破りの新ルールを採用。本格的に始動した今秋からは元メジャーリーガーでBCリーグの栃木ゴールデンブレーブスの川﨑宗則(44)らバラエティに富んだメンバーが世界各国から集結し熱戦を繰り広げている。野球不毛の地とされてきた中東から南アジアへ、そして将来的には“MLBのショーケースへ”──ドバイ野球とは何か?探るべく、現地へ飛んだ。
元メジャーリーガーも参戦

世界一の高さを誇るブルジュ・ハリファから車で約40分。砂漠の只中に設立された『Baseball United Ballpark』からは、その地に似つかわしくない乾いた打球音と陽気な音楽が鳴り響く。
Baseball United は2022年に設立し、2024年のエキシビションゲームを経て、今年2月に正式始動。シーズン1では11月14日から1か月、ミッドイースト・ファルコンズ、ムンバイ・コブラズ、アラビア・ウルブズ、カラチ・モナークスが火花を散らす。1チーム約20名で構成された4球団が総当たりで3度ずつ対戦し、合計18試合を実施。その後は上位2チームが3試合のプレーオフを行い、優勝を争った。
選手にはMLB通算669安打のアレハンドロ・デ・アザ、フィリーズで投げたセベリノ・ゴンザレスらがプレー。日本からは広島でプレーしたエディ・ディアスのスカウティングにより、元メジャーリーガーで現在は栃木ゴールデンブレーブスでプレーしている川﨑宗則、同じく元メジャーリーガーで最後は中日に所属していた中島宏之、さらに 元ロッテでくふうハヤテでプレーした福田秀平、広島時代に最高勝率タイトルを獲得している薮田和樹、元DeNA投手で現在同球団のアナリストの平田真吾らの実績組と、DeNA所属で1年目シーズンを終えたばかりの田内真翔と吉岡暖も参戦している。
吉岡によるとリーグ全体の実力は「独立リーグ相当」。元メジャーの実力者から発展途上の若手までレベル差が大きく、そこに常識外れの新ルールが加わることで“誰にも読めない”ゲーム展開が続出している。
その実像を明かしてくれたのが、Baseball Unitedのシニアディレクター 山村千晴氏 だ。
山村氏は日本政府系の組織であるJETROに所属していた2年前、駆け出しのBaseball Unitedをレポートした縁からCEOのカッシュ・シャイフ氏に直接口説かれ、今年の6月に正式に参画。山村氏はリーグの目標をこう説明する。
「まだ野球がメジャーではないところのマーケットを開拓していく。具体的には中東と南アジアに野球を広げていくことですね」
元々野球好きの野心家は、リーグの目標に共感した。ゼロからの球場建設、選手招集、運営体制の構築──当然資金は莫大だ。各国からの渡航費はもちろん滞在費に食事3食、クリーニングなどの経費をスタッフ含め約100人分。これだけでも1ヶ月で億単位の費用がかかると推測される。この点について山村氏はこう続ける。
「報酬や滞在費も含めて、相当のコストがかかります。ここに関してはショボいなって印象は持たれていないと思いますよ」

