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レッドソックスの吉田正尚が日本人初となる1イニング2本塁打。2発目は満塁弾だった(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)
レッドソックスの吉田正尚が日本人初となる1イニング2本塁打。2発目は満塁弾だった(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

なぜ吉田正尚は15年ぶりに殿堂入りレジェンドに並ぶ1回2本塁打の快挙を成し遂げたのか…米メディアと監督の答えは「修正力」

 レッドソックスの吉田正尚(29)は23日(日本時間24日)、敵地でのブリュワーズ戦に「4番・左翼」で先発出場、初回に先制犠飛を決め、8回には無死走者無しからライトへ勝ち越しの2号ソロを放つと打者一巡の猛攻撃で同じイニングに回ってきた第5打席でライトへ3号満塁弾を叩き込み、6打点の活躍でチームの12-5の大勝に貢献した。1イニング2本塁打は日本人メジャーリーガーとして初。レッドソックスでも1イニング2本塁打は通算541本塁打の“レジェンド”デービッド・オルティスが2008年に記録して以来、15年ぶりの快挙。米メディアからも称賛の声が相次ぎ、低迷を脱出した理由を分析する記事もあった。

 2号ソロ&3号満塁弾「復活の強烈なメッセージ」

 

 マッチョパワーが爆発した。3-4で迎えた8回だ。先頭のジャスティン・ターナーの左中間へ飛び込むソロで追いつくと、続く吉田がマット・ブッシュのカーブをフルスイング。ライトスタンドへ13試合ぶりとなる勝ち越しの2号ソロを運んだ。レッドソックスの猛攻が続き、この回、打者一巡。二死満塁で再び吉田に打席が回ってきて、今度は、ハビー・ゲラが投じたインコース高めのスライダーをバットに乗せるようにして捉えてライトスタンドへグランドスラム。ベンチで「マッチョ・ダンベル」を両手で掲げた。
 打率.213と低迷していた吉田の復活理由に迫ったのは米ESPNだ。
「吉田が8回の2本塁打でレッドソックスの攻勢に火を付ける」との見出しを取り、「日本人スターの吉田とレッドソックスがオフに交わした契約の成否をファンが知るまでにはまだ長い時間がかかる。だが、あえて言うならば、日曜日の8回の爆発を受け、その前途はバラ色の素晴らしい契約だったように見える」と記し、吉田の活躍を伝えた。
 記事は「吉田の1本目の本塁打はレッドソックスにとって2021年以来となる2者連続本塁打となり、ライトスタンドへ届いた満塁本塁打は、打球速度105.4マイル(約169.6キロ)で飛んだ。最近の数試合で調子を上げている兆候は見えていたが、シーズン最長のスランプに陥っていた吉田にとって強烈な(復活の)メッセージとなった。日本のプロ野球で通算打率.327の吉田は、この試合に入る前に71打席で長打3本、打率.213だった」と紹介。
 さらに「ひとまず吉田は序盤のひどい成績をしまい込むことはできそうだ。この試合で6打点を記録して15打点となり、吉田の打率は、このシリーズに入る段階で2割前後に留まっていたが、チームは彼の打撃内容が良い方向に向かっていると感じていた」と説明した上で、アレックス・コーラ監督のコメントをこう報じた。
「明らかに修正が見られた。空中へ(角度のある)打球を飛ばす必要があったことを彼は分かっていた。今日は、2球を捉え、その2球目(の満塁本塁打)は注目すべきものだった」
 また吉田の勝ち越し2号ソロにつなげる同点ソロと放ち、満塁弾の前では四球を選んでいたターナーは、「私も同じように(本塁打を)打とうとしたけれど『ストライクを全く投げてこなかったよ』と彼に話したんだよ。それでも彼が打ってくれてうれしい。序盤は少し苦しんでいたが、このシリーズを通しての質の高い打撃は、本当に目を見張るものだった」と冗談を交えて語ったという。
 記事は「吉田にとって、新しいチーム、新しい国、新しいスタイルの野球に合わせていく状況にあった。吉田は、試合後に『打撃のタイミングに取り組む一方で、対戦相手の投手を見やすくするためにスタンスをオープンにした』と語った。この修正は報われたようだ」と、スランプから脱出できた理由について説明した。
 ややオープン気味にスタンスを変えたことで、メジャー特有の動くボールへのアプローチがスムーズになったというのだ。コーラ監督が称えた修正力である。

 

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