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鍵山優真がミスをしながらも1位のマリニンに5.09点差の2位につけた(写真:Raniero Corbelletti/アフロスポーツ)
鍵山優真がミスをしながらも1位のマリニンに5.09点差の2位につけた(写真:Raniero Corbelletti/アフロスポーツ)

「鍵山が再びマリニンを倒す軌道に乗っている」と長野五輪金女王が称えた直後に3回転アクセル“ミス”の悲劇…5.09点差は「フリー技術点の優位性を考えると非常に大きな差」と辛辣見解も

 ミラノ・コルティナ冬季五輪のフィギュアスケート男子シングルSPが10日(日本時間11日)に行われ、北京五輪の銀メダリストの鍵山優真(22、オリエンタルバイオ・中京大)はジャンプにミスが出て103.07点で2位、“4回転の神”イリア・マリニン(21、米国)は、団体戦の不調を払拭するノーミスの演技で108.16点で首位発進した。また団体戦のフリーで評価が急浮上していた佐藤駿(22、エームサービス/明大)はジャンプでミスが続き、88.70点で9位となりメダル圏内から遠のいた。注目のフリーは13日(日本時間14日)に行われる。

 マリニンは団体戦で露呈した懸念を払拭

 ミラノ・スケートアリーナの空気を一変させたのは“4回転の神だった”。2シーズン負けなしの絶対王者のマリニンが団体戦の不調を完全に払拭した。
 公式練習を欠席し、「何があった?」と不穏な空気が流れたが、午前中に練習を済ませていたためで「本番に向けてリラックスする時間を多く取った。スケジュールがタイトだったので会場に残るよりも少し休みたかった」のが理由だったという。
 冒頭に予定していた4回転アクセル+3回転を4回転フリップに変える“安全策”を取った。だが、3.77点のGOEが付く素晴らしいジャンプで14.77点をゲット、さらにトリプルアクセルから4回転ルッツ+3回転トゥループの連続ジャンプのGOEは4.76点。このエレメンツだけで22.03点を稼ぐ。長野五輪以来の28年ぶりの解禁となったバックフリップ(バク宙)も繰り出してのノーミスの演技に思わずガッツポーズ。108.16点の高得点だったにもかかわらず、“キスクラ”では笑顔はなかった。2025年の世界選手権で出した110.41点に届かなったことに納得がいかなかったのだろうか。
 それでも米メディアのインタビューに答えたマリニンは「凄くいい感触だった」との手応えを口にしている。
「団体戦とは明らかに違うアプローチを取った。団体戦の時はプレッシャーが大きく、テンションも上がりすぎていた。今回は少し落ち着いて自然に任せた。しっかりと立って(ノーミスで)滑れたので、そこは満足している」
 米誌「フォーブス」によると、NBCの解説を務めたトリノ、バンクーバー五輪の米国代表だったジョニー・ウィアは、「この演技は、団体戦で生じた疑念をすべて払拭するために必要なものだった」と、マリニンの完全復活に太鼓判を押した。
  最終滑走の鍵山はそのマリニンの演技を見ていなかったという。
「終わった瞬間の歓声が物凄く聞こえてきた。そこまでのプレッシャーや緊張はなかった。この大歓声をどう自分のものに変えるか」
 そう覚悟を決めた。元五輪代表でコーチの父からは「全力で楽しんで来い!」の言葉でリンクへ送り出された。
 冒頭の4回転トゥループ+3回転トゥループの連続ジャンプを綺麗に降り、続く4回転サルコーも完璧に決めた。GOEは4.07点、3.88点と高く評価された。
  前出の米誌「フォーブズ」によると米NBCの中継で解説を務めていた長野五輪女子シングルの金メダリストであるタラ・リピンスキー氏は「再びマリニンを倒す軌道に乗っている」と評したという。団体戦のSPでは、鍵山がノーミスの演技で108.67点を叩き出して、ミスのあったマリニンの98.00点を上回っていた。このままの流れで鍵山がノーミスで滑れば、マリニンの108.16点は上回るであろうと踏んだのだ。
 だが、長野五輪で“タラちゃん”愛称で親しまれたレジェンドもまさかの落とし穴が待ち受けていた。

 

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