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中井亜美は金メダルのアリサ・リュウに銅メダルを確認して祝福を受け、喜びを爆発させた(写真:PA Images/アフロ)
中井亜美は金メダルのアリサ・リュウに銅メダルを確認して祝福を受け、喜びを爆発させた(写真:PA Images/アフロ)

「どうして私は中国人に見えないの?」アリサ・リュウ“金メダルスマイル”の裏に“代理母”出生秘密と中国から政治亡命した父、そして“きょうだい”の存在

 ミラノ・コルティナ冬季五輪のフィギュアスケート女子シングルが19日(日本時間20日)に行われ、SP3位だったアリサ・リュウ(20、米国)が逆転の金メダルを獲得した。天安門事件の活動がきっかけで米国に政治亡命した中国人の父を持つリュウの生い立ちは複雑で母は匿名の提供者の卵子による“代理母”。4人いる妹、弟も全員が“代理母”でミラノの会場で初めて全員がライブでリュウの演技を見たという。それがリュウの笑顔と金メダルの原動力だったのかもしれない。

 「これよ、これが言いたかったの」

「ブレード・エンジェル(氷上の天使)」の愛称にふさわしい金メダルの舞いだった。
 リュウは3回転フリップからスタート、いきなりエッジミスのアテンションがつくもまったく気にする素振りもなく続く3回転ルッツ+3回転トゥループも成功させ、会場と一体化、ずっと笑顔ですべてのジャンプをノーミスで滑り切った。
 コーチの顔を見ると「これよ、これが言いたかったの」と叫び「信じられない!」と興奮を隠さなかった。
 150.20点を叩き出し、計226.79点はパーソナルベスト。坂本花織に連続ジャンプを跳べないミスがなければ銀メダルに終わっていたが、わずか1.89点の僅差で、2002年のソルトレイク五輪のサラ・ヒューズ以来、24年ぶりの金メダルを米国へもたらした。
 最終滑走の中井亜美の銅メダルが確定した際、自らの金メダルより、中井と抱き合い、3歳年下の初のメダルを祝福する姿が印象的だった。USAトゥデイ紙によると「リンクの上で感じていたのは、落ち着きと、喜び、そして自信だった」と演技を振り返ったという。  
 リュウは2005年に米国で生まれた。だが、生まれた時に母親はいなかった。なぜなら匿名の提供者からの卵子による“代理母”によってこの世に生を受けたからである。リュウは5人“きゅうだい”の一番上。妹のセリーナが2歳下、ジュリア、ジョシュア、ジャスティンは、4歳年下で三つ子だが、全員がリュウと同じく“代理母”だった。
 2018年12月のNBCによると、リュウは2013年ごろにきょうだいの中で、自分だけ目の色が違うことに気づいて「どうして私だけ見た目が違うの? どうして中国人に見えないの」と父に尋ねたという。
 父は、このときに初めて出生の秘密を伝えたが、すでにリュウは、そのことを知っていて全く驚かなかった。父に教えられる前にリュウは“代理母”である人物と会っていたのだ。
 そしてリュウの才能を見抜いたのは、天安門事件後に米国へ政治亡命した中国人の父アーサーである。
 元々は、結婚していたが離婚し、リュウが生まれる頃は、独り身で「どうしても子供が欲しかった。でも、もう私は40歳だったから」と、“代理母”出産となった理由を説明している。
 その父は中国南西部の四川省にある人口約200人の山村の出身。重慶の寄宿学校の入学資格を得て、その後、中国の大学で学士号を取得。そこからアメリカへ亡命し、カリフォルニア州立大学ヘイワード校(現カリフォルニア州立大学イーストベイ校)でMBA、カリフォルニア大学ヘイスティングス法科大学院で法学博士号を取得し、弁護士としてキャリアを積んだ。

 

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