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179秒TKO勝利でミニマム級の全日本新人王を獲得した石井武志。ミニマムの常識を覆すパンチャーだ
179秒TKO勝利でミニマム級の全日本新人王を獲得した石井武志。ミニマムの常識を覆すパンチャーだ

井上尚弥の4団体統一効果で大橋ジムから4人目の新人王誕生!“小さなパンチャー”石井武志が衝撃秒殺TKOで全日本ミニマム級新人王&敢闘賞獲得…「あの大舞台を見てモチベ上がった」

 プロボクシングの全日本新人王決定戦が17日、後楽園ホールで行われ、12階級に新人王が誕生した(1試合は不戦勝)。会場の度肝を抜いたのが1ラウンド2分59秒TKO勝利したミニマム級の石井武志(23、大橋)だ。池田雅史(29、ハラダ)から計3度のダウンを奪う圧勝で敢闘賞に輝いた。バンタム級の4団体世界統一王者の井上尚弥(29)が所属する名門大橋ジムからの4人目の新人王。元K-1王者でOPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王者、武居由樹(26、大橋)の紹介で転向した元キックボクサーで、大橋秀行会長(57)からの「最軽量で目立つためにはKOを狙え!」の教えを守った。またMVPはスーパーライト級のスコーピオン金太郎(本名・又吉淳哉、23、三谷大和S)、技能賞はバンタム級の松本海聖(21、VADY)が選ばれた。

 武居由樹の紹介でキックから転向

 最軽量47.6キロ、ミニマム級の固定観念を覆すパンチャーが出現した。
 開始1分過ぎに石井の右フックが炸裂。ガードを固めてプレスをかけ、冷静にスキを見つけた一撃が池田のテンプルを打ち抜くと西軍代表のボクサーは、崩れるようにして横になってダウンした。
「完璧。キック時代から右で倒すことはなかったが、バチンと入って感触があったのは初めて」
 すぐに池田は立ち上がってきたが、今度は左フックで2度目のダウンを奪う。池田も心を折らず、再度立ち上がって、パンチを繰り出してきたが、ここでも石井は冷静だった。
「やることだけに集中」
 そう言い聞かせた。
「ガードを高く上げてたとえ反撃を受けても熱くならない」というボクシングである。ローブに詰めると、左のボディから左右のフックでラッシュ。その右フックで池田が崩れ落ちると、染谷レフェリーが試合をストップ。後楽園ホールの時計は残り1秒を示していた。
「時間はわかっていた。5ラウンドを使ってKOをしようと考えていたが、あそこまできたら1ラウンドで仕留めたかった。KOで勝つと言い続けてきた。それが実行できてよかった」
 石井はコーナーに上がって吠えた。

 福岡県うきは市出身の元キックボクサー。中2から5年間、空手の道場に通い、K-1の魔裟斗、武尊に憧れてキックを始めた。プロのリングに上がり4勝3KOの戦績で大和KICK第2代52.5キロ級王者にもなった。だが、憧れのK-1の最軽量級が、53キロから55キロで、身長156センチの石井に適した階級がなかったため、「このままいっても先がない。でも格闘技が好きだから」と、ミニマム級のあるボクシング転向を決意。東京足立区にある「パワーオブドリーム」ジムへ合宿にいった際に交流の生まれた武居の紹介で、古川誠一会長を通じて大橋ジムへ入門した。それが21歳の時だ。
 今年5月にデビュー。大橋会長からは「最軽量級で目立つにはKOを続けろ!」との指令を受けていた。3戦3KOで、東日本の決勝まで来たが、力みすぎて、判定勝利に終わり、連続KO記録はストップ。大橋会長からは、「倒さなきゃダメだ」とダメ出しを受け、石井自身も「悔しくて」わずか3日後に、元3階級制覇王者の八重樫東トレーナーに誘われていた静岡県伊豆の合宿に参加した。OPBF東洋太平洋フェザー級王者の清水聡や同スーパーバンタム級王者の武居らが参加する合宿で「すごく得るものがあった。次の試合モードに切り替わった」という。
 この日は、その心の変化を示すかのように髪を真っ赤に染めてリングに上がった。
「違ったのはメンタルだと思う。前回は、相手をなめてはいないが、倒せるだろうと倒すことだけを100考えて試合した。今日は相手と向かい合っても目を合わせなかった。自分がやるべきことだけに集中した結果だと思う」
 担当の北野トレーナーから授かった「心は熱く頭をクレバーに」の助言を意識した。
 4日前に日本のボクシング界の歴史を塗り替えたバンタム級の世界4団体統一王者、井上尚弥の影響も計り知れない。

 

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