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179秒TKO勝利でミニマム級の全日本新人王を獲得した石井武志。ミニマムの常識を覆すパンチャーだ
179秒TKO勝利でミニマム級の全日本新人王を獲得した石井武志。ミニマムの常識を覆すパンチャーだ

井上尚弥の4団体統一効果で大橋ジムから4人目の新人王誕生!“小さなパンチャー”石井武志が衝撃秒殺TKOで全日本ミニマム級新人王&敢闘賞獲得…「あの大舞台を見てモチベ上がった」

 大橋ジムで、石井は3階で練習しているが、井上が拠点にする4階の更衣室にいくだけで、張り詰めた緊張感を感じ、井上がパンチを放つ際に発する声を聴き「毎日、オレもやんなきゃと気合が入った」という。
 そして4団体統一戦の衝撃…この試合を控えていたため有明アリーナにはいかなかったが「dTV」に加入して自宅で配信観戦。
「あの大舞台を見て、自分もそこに立ちたい(と思い)、立っている姿を想像するだけでモチベーションが上がってきた。あそこでやるためにまた明日から頑張ろうと」
 井上と話をする機会はほとんどないが、最大級の刺激を受けた。同じ空間にいるだけで得られる井上の4団体統一効果と言っていい。
 ジムワークに加えて朝練を週に5日、さらに週に2日は武居と共に「パワーオブドリーム」ジムでトレーニングを積む。現在は、福岡の実家からの仕送りとウーバーイーツのバイトで生活をしていて、「上にあがっていくためにも絶対に負けられなかった」という。
 
 リングを降りると最前列で見守ってくれた“兄貴分“の武居に「今日の試合は何点でした?」と質問した。返ってきた答えは「2点」。もちろん冗談。「よかったよ」と合格点をもらった。
 大橋会長も、ジムで4人目となる新人王の誕生にリングサイドで目を細めた。大橋会長は、現役時代にミニマム級で世界を獲った。八重樫もスタートはミニマム級。最軽量級が井上を生んだ名門ジムのルーツにある。
「思い入れのある階級だから、あえて石井には、褒めることはせず厳しく接している。やはり石井の魅力はパンチ力。KOを狙い続けて欲しいね」
 大橋会長は石井へ期待を寄せる。
 全日本新人王は過去に25人の世界王者を輩出した登竜門。
 もちろん石井の志は大きい。
「(日本ランカーの)上位とやって勝つか負けるかわからないが、自分自身は、勝てると思っている。ここはまだ通過点。日本タイトル、世界チャンピオンを本気で狙っていきたい」
 そしてキックから転向して5戦を終えた自らの課題をこう語る。
「もう蹴る感覚は自分の足にはない。ただキックだと判定で10-10のラウンドがあるが、ボクシングは10-9。そのちょっとの差はスタミナの使いどころだったりするのでスパーでもポイントを考えながらやっている。もちろん全試合KOを狙っていくが、ボクシングをしてどうポイントを取るかも今後の課題になる」
 このクレバーさも石井の潜在能力のひとつだろう。
 衝撃の1ラウンドKOで、MVPの最有力候補だったが、スーパーライト級のスコーピオンが、それ以上にインパクトのあるTKO勝利を飾ったため、最大の栄誉は逃して敢闘賞となった。
「もっていかれと思いました。悔しいです」
 この気持ちが小さなKOマシンが、さらに強くなるためのバネになりそうだ。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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