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FIFAのインファンティーノ会長が2026年北米W杯での大会様式の変更を検討していることを電撃発表した(写真:PA Images/アフロ)
FIFAのインファンティーノ会長が2026年北米W杯での大会様式の変更を検討していることを電撃発表した(写真:PA Images/アフロ)

異例の電撃発表!なぜFIFAは2026年北米W杯のGS方式を「3か国16組」から「4か国12組」へ変更しようとしているのか?

 国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ会長(52)が16日、カタールW杯のメインメディアセンターで記者会見に臨み、アメリカ、カナダ、メキシコで共同開催される2026年の次回W杯の開催方式を再検討すると明かした。出場チーム数が現行の「32」から「48」に拡大される次回大会のグループステージは当初、3チームずつ16グループに分かれて実施される予定だった。一転して4チームずつ12グループとする形を加えて、再考を決めたのはなぜなのか。

グループを奇数で形成すれば様々な問題が起こる

 FIFAトップの重大発言は、理事会後に臨んだ記者会見の質疑応答で飛び出した。
 4年後の2026年6月から7月にかけてアメリカ、カナダ、メキシコの3カ国で共同開催される次回W杯。出場チーム数が現行の「32」から「48」へ、一気に50%も増える第23回大会のグループステージは当初、3チームずつ16グループに分かれて実施される予定だった。
 インファンティーノ会長はこれを、根本的に見直す可能性が出てきたと明言した。
「3チームずつ16グループに分かれるのか、あるいは4チームずつ12グループに分かれるのか。グループステージの実施方式を、再検討しなければいけない」
 開催まで4年を切った段階で、次回W杯の大会方式が再考される異例の事態が生じたのはなぜなのか。理由のひとつにグループを奇数で形成する状況で起こりうるさまざまな問題がある。
 3チームでリーグ戦を行えば、カタール大会のように同日に試合を行う日程は組めない。試合間隔でチーム間に不公平が生じ、さらにグループ最終戦でも問題が出てくる。
 例えばあるグループがA、B、Cのチームで構成されるとする。Aが先に2試合を終えて最終戦が行われる場合、BとCはAの成績を踏まえて結果を選択できる。極端な話、BとCがともに決勝トーナメントへ進むために、意図的に引き分けなどに持ち込むケースも可能になる。
 グループステージ最終戦が同日同時刻のキックオフで行われる現行方式は、1986年のメキシコ大会から実施されてきた。理由はその4年前、1982年のスペイン大会のグループ2にある。
 初戦で初出場のアルジェリアに金星を献上した西ドイツは、続くチリとの第2戦で大勝。チリとアルジェリアを危なげなく下していたオーストリアとの最終戦に臨んだ。
 実は前日の段階で、アルジェリアはチリとの最終戦を勝利で終えていた。この結果を受けて西ドイツが2点差以内でオーストリアを下せば、3チームが2勝1敗で並び、得失点差で最も劣るアルジェリアのグループステージ敗退が決まる。
 果たして、生き残りがかかったはずの大一番は前半11分に西ドイツが先制して以降は、両チームがまったく攻める姿勢を見せないまま終了。フェアプレー精神を著しく欠いた凡戦は、W杯の歴史に汚点を残す談合試合として、アルジェリアだけでなく全世界から激しく非難され、1986年大会からのグループステージ実施方法の変更につながった経緯がある。
 グループを形成するチーム数を奇数にすれば再びさまざまな不公平が生じ、最終戦の内容や結果に疑惑の視線が向けられかねない。次回大会の構想が明かされた当時から物議を醸し、批判が絶えなかったところへ今大会の活況が加わった。これがもうひとつの理由となる。
 質疑応答のなかで、インファンティーノ会長はこんな言葉も残している。
「4チームが8つのグループに分かれたカタール大会のグループステージは、最終戦までスリリングで面白かった。非常に大きな成功を収めたと言わなければいけない」

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