ウィザーズに1巡目9位指名された八村塁はワシントンで入団会見(写真:INSTARimages/アフロ)
ウィザーズに1巡目9位指名された八村塁はワシントンで入団会見(写真:INSTARimages/アフロ)

【再掲載】八村塁のNBAドラフト1巡目9位指名の裏側

 ドラフト開始2時間ほど前、サンズは1巡目6位の指名権をティンバーウルブズに譲った。代わりに、ティンバーウルブズの1巡目11位の指名権とダリオ・シャリッチを獲得している。

 このとき、一つの仮説が成り立った。サンズは、八村塁を指名しようとしているのではないか。  少し前のことになるが、サンズが八村に興味を持っている、という記事が出ていた。

 ただ、八村を獲得するなら6位で指名する必要はなく、もう少し後でも残っている可能性が高い。11位の指名権を持つティンバーウルブズが指名順位を上げることを狙っているという情報を耳にすると、1巡目指名権の交換を持ちかけ、デビュー以来、コンスタントに二桁得点を挙げているシャリッチを一緒に手に入れた。おそらくその時点では、サンズは11位でも八村を指名できると読んだはず。しかし、ウィザーズが1巡目9位で八村を指名すると、誤算が生じた。

 仕方がなく彼らは、キャメロン・ジョンソン(ノースカロライナ大)を指名したが、1巡目後半の指名が有力視されていただけに、その判断には多くが疑問を持った。

 一方のウィザーズもトレードダウンを考えたと伝えられるが、それこそ11位に下がったサンズが指名してくる可能性があった。そのまま9位での指名に踏み切ったが、そのこと自体、大きな驚きを持って受け止められた。会場の反応は、どちらかといえば、戸惑い。多くはウィザーズが、カム・レディッシュ(デューク大、1巡目10位でホークスが指名)を指名すると予想していた。  その反応はそのまま、米メディアの捉え方にも反映されている。

【SB NATION】

「もし八村のディフェンスが向上せず、パスもうまくならず、3ポイントシュートを打てるようにならなければ、この指名は笑いものになる」

【ロト・ワールド】

「ウィザーズは、こんな上位で八村を指名したことを後悔するかもしれない」

【スポーツ・イラストレイテッド誌】

「この指名は興味深いが、リスクを伴う」

【FiveThirtyEight.com】

「ディフェンスは平均以下で、NBAで毎晩のように活躍するには、時間を要する」

 どちらかというと批判的な声を拾っただけなので偏りがあるものの、それでも決して少なくない反応だった。 ただ、そのことよりも八村がウィザーズに指名された瞬間に気になったのは、チームの方向性である。

 すでに報じられているように、ウィザーズにはまだ、GM(ゼネラルマネージャー)がいない。ドラフトには、船頭なしで臨んだのである。

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