全日本大学駅伝で駒大が4連覇。区間記録を塗り替えた2区の佐藤圭汰がMVPを獲得した(写真:SportsPressJP/アフロ)
全日本大学駅伝で駒大が4連覇。区間記録を塗り替えた2区の佐藤圭汰がMVPを獲得した(写真:SportsPressJP/アフロ)

「強すぎる」駒大に箱根駅伝への死角はあるのか?

 全日本大学駅伝が5日、名古屋の熱田神宮西門前発―三重の伊勢神宮内宮宇治橋前着の8区間、106.8kmのコースで行われ、駒大が5時間09分00秒で大会4連覇を達成した。史上初となる2年連続の出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝の駅伝“3冠”に王手をかけた。駒大に死角はあるのか?

 「箱根駅伝を全力で取りにいき、ぜひ2年連続の3冠を達成したい」藤田監督

 今年の全日本大学駅伝は王者・駒大がひたすら強かった。
「自分より速い選手ばかりなので、自分が1区でしくじることがなければ確実に勝てると思っていました」
 そう話した1区赤津勇進(4年)が早大とのラスト勝負を1秒差で制すと、実際に〝危ういシーン〟は一度もなかった。
 2区佐藤圭汰(2年)は5㎞13分48秒で突っ込み、早大を引き離す。自慢のスピードを生かして、区間記録を11秒も塗り替えた。3区篠原倖太朗(3年)は前半、早大に詰められるも、3㎞過ぎからペースアップ。5㎞を14分01秒で通過して、区間2位(日本人トップ)でタスキをつなぐ。中大・吉居大和(4年)が区間11位と伸び悩んだこともあり、リードを1分00秒に拡大した。
 4区赤星雄斗(4年)と5区伊藤蒼唯(2年)は区間2位、3年連続で6区を任された安原太陽(4年)は区間賞を獲得。つなぎ区間でも強烈なパンチ力を見せつけて、リードは2分21秒に広がっていた。
 そして前日の監督記者会見で「絶対的な自信を持っています」と藤田敦史監督が語っていた終盤2区間も盤石だった。
 7区鈴木芽吹(4年)は5㎞を14分01秒、10㎞を28分28秒と攻め込んだ。先輩・田澤廉(現・トヨタ自動車)の区間記録を意識してオーバーペースになったが、区間3位でまとめる。最後はアンカー山川拓馬(2年)が区間賞で締めくくり、後続に3分34秒という大差をつけて、歓喜のゴールに飛び込んだ。
「選手たちがしっかり走ってくれたおかげで2度目の4連覇と本年度2冠目を取ることができました。他大学に隙を与えることなく、ゴールまでタスキを運ぶことができて、駒大の強さを示すことができたと思います。今日のレースに関しては満点に近い評価ができますね。今後は箱根駅伝を全力で取りにいき、ぜひ2年連続の3冠を達成したい」

 駒大・藤田監督も自画自賛するほどの完勝レースだった。
 今大会で唯一、駒大の前を走ったのが青学大だ。1区の中盤で若林宏樹(3年)が集団から抜け出すも、終盤に飲み込まれた。青学大は1区8位スタートから2区黒田朝日(2年)で2位に浮上すると、大半は2位でレースを進める。最終8区は國學院大、中大と競り合うかたちになったが、最後はアンカー田中悠登(3年)が逃げ切り、2位を確保した。
 ただし駒大の背中は1.2㎞以上の先にあり、原晋監督は、「駒大は強すぎます。留学生を入れ込んだらニューイヤー駅伝でも優勝できるぐらいじゃないかな。学生界史上最強軍団ですよ」と王者の圧倒的な強さに驚嘆した。
 今大会、エース級を1~4区に並べて、優勝を狙いにいったのが中大だ。しかし、1区吉居駿恭(2年)が駒大に3秒遅れると、2区中野翔太(4年)は佐藤のスピードについていけない。学生駅伝で4大会連続の区間賞を獲得していた3区の吉居大和も「調子は結構良かったんですけど、自分の動きができませんでした」とまさかの失速。絶対エースで首位に立つことができず、4位に終わった。
 
 強すぎる駒大。2年連続の駅伝3冠に向けて、残すは正月の箱根駅伝のみとなった。チームには前回のVメンバーが7人残っている。卒業したのは1区(円健介)、2区(田澤廉)、9区(山野力)だが、前回は主力の花尾恭輔と佐藤圭汰が直前の離脱で起用できなかった。さらに前々回の1区を区間2位と好走した唐澤拓海、同5区4位の金子伊吹、2度の箱根駅伝出場のある白鳥哲汰という4年生も控えている。山区間は5区山川が区間4位、6区伊藤が区間賞で走っており、不安はまったくない。
 果たして、最終決戦で駒大に死角はあるのだろうか。
 藤田監督に箱根駅伝で弱点があるかどうか尋ねてみると、こんな答えが返ってきた。

 

関連記事一覧