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今大会ナンバーワンストライカー福田師王(神村学園)が1ゴール1アシストの活躍で優勝候補の青森山田を撃破してベスト4進出(写真・アフロスポーツ)
今大会ナンバーワンストライカー福田師王(神村学園)が1ゴール1アシストの活躍で優勝候補の青森山田を撃破してベスト4進出(写真・アフロスポーツ)

神村学園を4強に導いた大会ナンバーワンFW福田師王はどれほどの逸材なのか…すでにボルシアMG入りが内定

  第101回全国高校サッカー選手権の準々決勝4試合が4日に行われ、等々力陸上競技場では神村学園(鹿児島)が2-1で連覇を狙った青森山田(青森)に逆転勝ち。初出場だった2006年度大会以来のベスト4進出を決めた。後半16分に高校ナンバーワンストライカー、福田師王(しおう、3年)の技ありアシストから同点に追いつき、4分後には福田の今大会2ゴール目で勝ち越した。大会後にブンデスリーガのボルシアMG入りする福田の“凄さ”を追った。

 「自分から始まるのが神村学園の攻撃」

 

 試合の流れを一気に神村学園へ傾かせた一撃。後半16分にFW西丸道人(みんと、2年)が決めた同点ゴールをさかのぼっていくと福田の“胸”に行き着く。
 青森山田のシュートが枠を外れ、神村学園のゴールキックで再開される直前。キャプテンのMF大迫塁(3年)が自陣のペナルティーエリア内へ下がっていった。
 卒業後のセレッソ大阪入りが内定しているボランチは、守護神の広川豪琉(3年)からパスを受け取るや前を向き、利き足の左足を思い切り振り抜いた。
 自陣のゴール前から放ったロングフィードの意図を大迫はこう説明した。
「自分から始まるのが神村学園の攻撃。自分がボールに触ってリズムを作ろうと思っていたし、自分がボールに触ることで得点できる確率が上がる気がするので」
 ロングフィードの着地点は敵陣のセンターサークルを越えたあたり。そこには1年生から喜怒哀楽をともにしてきた福田が、まさに以心伝心で走り込んでいた。
 福田にボールをわたしてなるものかと、前半からバトルを繰り広げてきた青森山田のキャプテン、DF多久島良紀(3年)が空中戦を挑もうとポジションを上げてくる。この展開こそが神村学園の狙いだった。試合前のミーティングの内容を福田が明かした。
「山田さんはけっこう前から来る。なので、その背後を狙おうと」
 あとは福田が多久島とのエアバトルを制するだけ。落下してくるボールに対してともにジャンプしながら、福田は自身の背中で巧みに多久島を押さえつけた。2人の背後に生じていたスペースへ、先輩の勝利を信じた西丸もすでにスプリントを開始している。
 次の瞬間、宙を舞っていた福田が機転を利かせた。
頭を使えば強い反発力が生じ、西丸へのパスが長くなるおそれがあった。ならば、とボールを当てたのが胸だった。ボールを包み込むような形にすれば勢いも殺せて、西丸へベストのパスを託せる。とっさに描いた青写真は数秒後に同点弾となって結実した。
 それでも福田は「まだまだ、全然」と自らに高いハードルを課した。
「もっといい落としができたら、もっと楽に点が取れていました。本当は先制点というものに、もっとこだわっていきたいと思っているんですけど」
 福田の言葉通りに、初戦だった山梨学院(山梨)との2回戦、日大藤沢(神奈川)との3回戦、そして青森山田との準々決勝とすべて相手に先制された。苦戦が続いたなかで、先制点を奪う役割はエースストライカーの自分のはずなのにと責任を感じてきた。

 

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