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WBCの準決勝で村上宗隆に逆転サヨナラ二塁打を浴びて悲劇のクローザーとなったメキシコのジオバニー・ガイエゴス(カージナルス)が(写真・AP/アフロ)
WBCの準決勝で村上宗隆に逆転サヨナラ二塁打を浴びて悲劇のクローザーとなったメキシコのジオバニー・ガイエゴス(カージナルス)が(写真・AP/アフロ)

「大谷翔平にボール球を打たれたのが…」WBCメキシコ守護神が今振り返る侍Jに許した逆転サヨナラ劇の真実…「佐々木と山本はメジャーで通用する」

 侍ジャパンが頂点に立ったWBC(ワールドベースボール・クラシック)から1か月が過ぎた。大谷翔平(28)vsマイク・トラウト(31)の対決など、今でも記憶に残るシーンはいくつもあったが、感動的だったゲームのひとつが、3月20日(日本時間21日)に行われた準決勝のメキシコ戦での逆転サヨナラ勝利だろう。4-5で迎えた9回。先頭の大谷が、右中間への二塁打で出塁、続くレッドソックスの吉田正尚(29)が四球を選び、無死一、二塁から不振だったヤクルトの村上宗隆(23)が左中間フェンスを直撃するサヨナラ二塁打を放った。その時、メキシコのクローザーとしてマウンドに上がっていたのが、カージナルスのジオバニー・ガイエゴス(31)だった。悲劇のクローザーは、あの時、何を思ったか。話を聞く機会があった。

 「大谷へのチェンジアップは決してミスではない」

 

ニックネームはジオ。“陽気な”という言葉で括られがちなメキシコ人のキャラクターだが、今季は8 試合に登板(8 回1/3)し、3安打、1四球、11三振、防御率0.00(4/26現在)というカージナルスのセットアッパーは、クラブハウスでは実に物静か。
 近寄りがたい雰囲気もあり、ブルペン捕手でスペイン語の通訳を務めるクレイニンガー・テランに、「日本との準決勝の話を聞きたいんだけど、答えてくれるだろうか?」と恐る恐る聞くと、意外にもあっさり「問題ないよ」との返事。「彼は大人だから」。果たして、テランが声をかけると、「構わないよ」。あっさり承諾してくれた。

 ジオが日本戦で投じたのはわずか9球。対戦打者は3番の大谷翔平、4番の吉田正尚、5番の村上宗隆の3人。それぞれの対戦を映像を見ながら振り返ってほしいとお願いすると、まずは、こんな話をした。
「自分が9回からマウンドに行くことは決まっていたから、やはり少し緊張した。おそらく、メキシコがあそこまで勝ち上がるとは誰も思っていなかったと思う。だから、それまでは失うものがなかった。でも、これに勝てば決勝だと考えてしまった。それがプレッシャーになった」

 ブルペンで日本の8回裏の攻撃が近藤健介で終わるのを見届けた。9回は大谷から。「もちろん、分かっていた」。
 映像の再生ボタンを押すと、さっそく見入った。
【対大谷翔平】
 (初球)87.6 ㍄(141キロ) チェンジアップ 右中間二塁打
 初球に何を投げるのか。それは「マウンドへ向かうときに、ある程度イメージした」という。
「チェンジアップを引っ掛けさせられたらベスト」
 映像では捕手が低めに要求しているように見えるが、ボールは外角やや高めのボール球。しかし、「狙い通りだった」とジオは振り返る。
「大谷は初球からボール球でも積極的に振ってくると思った。だから、外角に外したかった。もし振ってくれば、ファールになるか、ゴロになるか。そういう狙いがあった」
 そのボール球を大谷は右中間へ角度をつけた。
「もう少し低かったほうが良かったかもしれないが、決してミスではない」

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