関西の名門である立命館大が箱根駅伝予選会に挑んだが35位と惨敗した(写真・日刊スポーツ/アフロ)
関西の名門である立命館大が箱根駅伝予選会に挑んだが35位と惨敗した(写真・日刊スポーツ/アフロ)

箱根駅伝予選会の地方大学惨敗から見えてきた全国化への大きな壁…格差は埋まるのか?

 

2024年の正月に開催される第100回箱根駅伝の予選会が14日、東京立川の陸上自衛隊立川駐屯地発ー国営昭和記念公園着コースで行われた。
 今回は、記念大会のため出場校が「3」増枠され、参加資格も「関東学連登録者」から「日本学連登録者」に拡大された。関東ローカルの大会である箱根駅伝だが、今回に限り、全国の大学に門戸が開かれたことになる。札幌学大、皇学館大、愛知工大、中京大、信州大、京産大、立命大、大阪経済大、放送大学関西、環太平洋大、日本文理大の11校が地方から参戦。出場校は、前回から14校増えて、史上最多の57校が「13枠」を争った。
 選考会は各校10~12人が出走。一斉スタートして、ハーフマラソンの上位10人の合計タイムで争われる。しかし、地方勢には厳しい現実が待ち構えていた。
 最高位は京産大の27位(10時間54分22秒)で、次が立命大の34位(11時間05分23秒)。個人成績では小嶋郁依斗(京産大3)の46位(1時間03分07秒)が最高だった。なお今回の予選通過ラインは10時間39分47秒。この結果に、「関東と地方でこんなに実力差があったのか!?」と驚いた方は少なくないだろう。

 「これだけの差がついたのは実力不足」

 

 例年、出雲駅伝と全日本大学駅伝は関東勢が上位を占めているが、関東勢の出場枠は出雲駅伝が「10」、全日本大学駅伝は最大「15」(シード校8+関東枠7)。そのため地方大学といえども出雲は11位、全日本は16位に入ることができるのだ。
 しかし、実際はというと、全日本大学駅伝(8区間/106.8㎞)は2年連続して関東勢最下位の15位と地方勢最高の16位は3分近い大差があった。そして、このなかに入るような実力を持つ関東の大学が多数あったというわけだ。
 なお京産大(27位)と立命大(34位)の付近にいたチームには、芝浦工大、明治学院大、流通経済大、桜美林大、東京経済大、武蔵野学院大、立正大、育英大という出雲や全日本に一度も出場していない大学がいた。「打倒・関東」を掲げている地方大学にはショッキングな結果だったといえるだろう。

 出雲駅伝に20回、全日本大学駅伝に34回の出場を誇る立命大・田中裕介コーチもレースをこう振り返っている。
「これだけ大勢の方に見守られながら走れる大会は他にありません。良い緊張感のなかで走れたかなと思います。選手はベストを尽くしてくれたかなと思うんですけど、これだけの差がついたのは実力不足。出雲や全日本とは異なり、同じぐらいの実力のチームとハーフで戦いましたが、言い訳にならないぐらいの差があった。そこをどう感じて、次に生かすのか。真剣勝負だからこそ、感じることが多かったと思います」
 予選会突破ラインとは大きな開きがあったが、今回の結果を冷静に分析すると、地方勢はよく健闘したと筆者は考えている。予選会順位と登録選手上位10人の10000m平均タイム順位(カッコ内)に大きな差がなかったからだ。
 以下がそのデータだ。

京産大27位(25位)
立命大34位(29位)
皇學館大35位(35位)
札幌学院大37位(36位)
日本文理大39位(40位)
大阪経済大43位(38位)
中京大44位(42位)
環太平洋大45位(37位)
愛知工大46位(39位)
信州大47位(48位)
放送大学関西55位(46位)

 関東勢は年間を通して箱根駅伝を意識したトレーニングをする大学が多いなか、地方勢は全日本大学駅伝が最高の舞台になる。加えて、箱根駅伝予選会の出走は最大12人、全日本大学駅伝の出走は8人。選手構成とトレーニングを箱根駅伝予選会に合わせていかないと突破は非常に難しい。

 

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