立浪竜が巨人を自由契約で出た中田翔の獲得に成功。一方でポジションがなくなるビシエドのトレード説が急浮上している(写真・黒田史夫)
立浪竜が巨人を自由契約で出た中田翔の獲得に成功。一方でポジションがなくなるビシエドのトレード説が急浮上している(写真・黒田史夫)

中田翔の中日入り決定的でビシエドのトレード説が急浮上

 巨人を自由契約になった中田翔(34)の中日移籍が決定的となった。中日にとって待望の大型補強だが、出場機会を求めてオプトアウト契約を行使して巨人を去った中田を立浪和義監督(54)は一塁のレギュラーで起用すると考えられ、戦力として浮くことになったのがダヤン・ビシエド(34)だ。このままでは右の代打での起用となるが、来日8年で国内FA権を得て来季から外国人枠を外れるため、球団の内外でトレード説が急浮上してきた。

 ビシエドは来季外国人枠から外れて日本人扱い

 

 勝負の3年目を迎える立浪竜が待望の4番候補の補強に成功した。中田が自由契約となり他球団との交渉が解禁となった、その初日に立浪監督が自ら出馬。巨人と結んでいた複数年契約(残り2年で推定6億円)と同等以上の条件を提示したとみられ、中田も前向きで中日入りがほぼ決定的となった。今季のチーム打率(.234)、得点(390)、本塁打数(71)のすべてがリーグワースト。最下位脱出の強化ポイントが貧打の解消にあった中日からすれば、今季はケガもあって試92合、打率.255、15本塁打、37打点に留まったものの、プロ通算303本塁打を誇る中田の加入は、大きなプラスだ。
 このオフには、戦力外となったソフトバンクの上林誠知、阪神の山本泰寛、板山祐太郎、巨人の中島宏之を獲得するなど積極的に動いたが、最後に最高の仕上げをやってのけた。
 楽天、巨人、西武などでコーチを務め、来季からイースタン・リーグに新規参入するオイシックス新潟アルビレックスBC監督の橋上秀樹氏も、「ここまでは補強というより補充に近かったが、中田の獲得でようやくレギュラーで起用できる補強と呼べるものに成功した。バンテリンドームでは本塁打は期待しにくいが、最低今季の15本は打つでしょう。私もコーチだった2017年のWBCでも代表だった中田は、当時コーチとして加わっていた立浪監督の打撃理論に耳を傾けていた。その2人の関係性に加え、中田は出場機会を求めて巨人を出たのだから、4番も含めたクリーンナップで使うでしょうね」と評価した。
 中田は、昨年オフに3年契約を結んだが、今オフに原辰徳監督に代わって新監督に就任した阿部慎之助氏が「一塁・岡本和真」「三塁・坂本勇人」「遊撃・門脇誠」のコンバート案をぶちあげ、レギュラー構想から外れた。そのままチームにいれば、代打でも2年間の推定年俸3億円が保証されていたが、中田は出場機会を求めて3年契約を結んだ際に契約に加えていたオプトアウト権を行使し、自由契約となり、他球団でのプレーを決断した。中田は、国内のFA権も持っていたが、Bランクと見られるため人的補償などで移籍の選択肢が狭まることもあり自由契約の道を選び、巨人もその意向に応えた。
 これらの経緯から考えると橋上氏の指摘通り立浪監督は間違いなく中田を一塁のレギュラーで起用すると見られる。おそらく入団交渉の際に、そういう構想を指揮官の口から聞いたからこそ、中田も入団に前向きな姿勢を示したのだろう。
 ドラ党にとって喜ばしいニュースだが、一方で、もう一つの問題が発生している。昨年まで一塁のレギュラーで起用されてきたビシエドが、中田に押し出される形で来季構想から浮くのだ。

 

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