阪神の次期監督としてOBで元監督の岡田彰布氏が15年ぶりに再登板する
阪神の次期監督としてOBで元監督の岡田彰布氏が15年ぶりに再登板する

阪神次期監督に岡田彰布氏が15年ぶり再登板

 

阪神の次期監督が阪神OBで元監督の岡田彰布氏(64)に決定したことが26日、明らかになった。キャンプイン前に矢野燿大監督(53)が今季限りの退任を表明。阪神はここまで時間をかけて次期監督を検討してきたが、2005年以来遠ざかっている「優勝を狙える監督が必要」との結論に達し、優勝監督の手腕のある岡田氏に15年ぶりの再登板を要請する方針を固めた。早ければ29日にも要請を行い、レギュラーシーズンの全日程が終了する10月2日にも正式発表される予定だ。

優勝監督の経験と手腕を評価

 虎党待望の“切り札“が15年ぶりに帰ってくる。

 阪神は、キャンプイン前に今季限りの退任を発表した矢野監督の後任監督を時間をかけて検討してきたが、阪神OBで2005年に阪神をリーグ優勝に導いた岡田氏に監督を要請する方針を固めた。

 当初は「金本、矢野と継続した育成路線を継承できる人」との考えから、金本知憲監督、矢野監督とつないだ7年間を知る平田勝男2軍監督(63)の内部昇格案が検討されていた。

 だが、今季は優勝争いから早々と離脱、2005年を最後に17年間も優勝から遠ざかっているという危機感があり、育成と共に「優勝できる監督」を求める声が、阪神球団内だけでなく、阪急阪神ホールディングスの中でも高まった。

 平田氏は1軍の監督は未経験のため、2005年の優勝監督であり、その後、オリックスの監督を3年間務めるなど、経験豊富な岡田氏の現場復帰がクローズアップされた。阪神では2015年限りで退任した和田豊監督を最後にチーム“生え抜き“の監督がいなかったこともあり、チームの再建と優勝を”生え抜き”の岡田氏に託したいとの思いもあるという。また岡田氏のもとで、次期監督候補であるOBの鳥谷敬氏、藤川球児氏らを指導者として育成してもらい、将来的にスムーズなバトンタッチをはかりたいとの長期構想もある。

 岡田氏は、北陽高(現関大北陽高)から早大に進み、1979年のドラフトで6球団競合の末、熱望していた阪神にドラフト1位で入団。新人王を獲得し、1985年の日本一に貢献するなど、強打の内野手として活躍。オリックスに移籍して引退後は、オリックスの2軍助監督兼打撃コーチ、阪神2軍監督、阪神1軍内野守備走塁コーチを経て、2004年に故・星野仙一氏の後を受けて阪神監督に就任。1年目は4位に終わったが、翌2005年に87勝54敗5分けの成績で優勝した。

 ウィリアムズ、藤川氏、久保田智之の3投手で、7、8、9回を抑えて逃げ切る「JFK」と言われた勝利方程式を確立。加えて「岡田監督はセイバーメトリクスを取り入れているのではないか」と言われるほど、効率的な攻撃を取り入れてセ・リーグの頂点に立った。当時、中日の監督だった落合博満氏の「ニヤっと笑うとエンドランのサインを出す」などの細かい心理を読み取り、対戦チームを迷わせる駆け引きや戦術、“勝負勘“が光った。

 2008年は、夏場まで2位の巨人に最大13ゲーム差をつけて独走していたが、北京五輪に出場していた4番の新井貴浩氏が怪我で離脱するなどして失速。優勝を逃して球団からは続投を要請されたが、責任を感じて、そのシーズン限りで辞任した。阪神での監督5年間の成績は4位、1位、2位、3位、2位。

 2010年からは3年間、オリックスの監督を務めたが、1年目は5位、2年目はあと1勝で惜しくもクライマックスシリーズ進出を逃し、3年目も最下位に終わり退団。以降10年間、評論家としてネット裏から阪神の野球を見守ってきた。

 和田豊監督政権下の2014年には「Bクラスで終われば監督就任」と球団首脳から”内々に”話をもらっていたが、チームは2位となり、CSを勝ち抜いて日本シリーズ進出を決めたため監督復帰プランは流れて“白紙“に戻っていた。  それでも“阪神愛“は強く、テレビ、ラジオや契約しているスポーツ紙での歯に衣着せぬ”辛口の評論”が、時には「言い過ぎでは?」との批判を受けることもあったが、すべては、OBとしてのチームへの愛情の裏返しで、その鋭い分析や、評論は一目置かれていた。

 岡田氏は、ここ数年、優勝候補にあげられながらも期待に応えられないチームの状況を危惧しており、正式要請があれば、2度目の監督就任を受諾するものと見られる。残り3試合となった阪神は、熾烈な3位争いをしているため、球団は現場に配慮して、監督人事についての動きを封印しているが、早ければ、順位確定のメドがたつ28日のヤクルト戦が明けた29日にも正式に監督を要請、早急にコーチングスタッフの組閣を進め、10月2日の最終戦を待って正式発表する予定だ。

(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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