Jリーグが2026年から秋春制への移行を決定した(写真・アフロ)
Jリーグが2026年から秋春制への移行を決定した(写真・アフロ)

Jリーグ秋春制移行の問題点とは?

Jリーグは19日に都内で開催した理事会で、現行の2月開幕を8月開幕とする「秋春制」へのシーズン移行を全会一致で可決した。北中米3カ国で共催される、次回W杯後の2026-27シーズンから実施される。これまで何度も検討され、その都度、見送られてきた長年の懸案事項が決着を見たなかで、会見に臨んだ野々村芳和チェアマン(51)は「決めたからと言って、すべてがスムーズにいくとはまったく思っていない」と明言。山積している課題の解決へ、継続的に議論していく方針を掲げた。

 「スムーズにいくとはまったく思っていない」

 誕生から30年の節目にJリーグが歴史的な転換点を迎えた。
 原則2月に開幕してきた「春秋制」のシーズンを8月開幕に移行する「秋春制」の導入。これまで日本サッカー協会(JFA)との間で何度も検討され、その都度、見送られてきた長年の懸案事項が、初めて提唱された2008年から16年目にして決着を見た。
 この日に都内で開催された理事会で、野々村チェアマン及び8人の理事による全会一致でシーズン移行案が可決された。次回W杯後の2026-27シーズンから導入される新日程は8月上旬に開幕し、翌年5月末もしくは6月上旬に閉幕。12月2週目ごろから翌年2月3週目ごろまでの8、9週間にわたってウインターブレイクが設けられる。
 理事会後に会見した野々村チェアマンは「シーズン移行を決めたからと言って、すべてがスムーズにいくとはまったく思っていない」と明言。山積している課題を認めた上で、サッカー界全体へ向けて「ここからがすごく大事になる」とメッセージを発信した。
 具体的にどのような課題が存在しているのか。
 まずは全体の一致体制があげられる。理事会に先駆けて14日に実行委員会が開催され、J3までを含めた全60クラブの社長や代表による投票を実施。Jリーグから提示された①シーズン移行実施を決めた上で残された課題を継続検討する②移行を決めずに継続検討する③移行を実施しない――の3つの選択肢のうち①が52票を集めていた。
 一方で②に7票が投じられ、唯一③を支持したJリーグの元専務理事、アルビレックス新潟の中野幸夫社長(68)は降雪地域が抱える現状をこう訴えていた。
「シーズン移行をしたい、したくないではなく、できない。スタジアムや練習会場の設備がよくなっても、雪が降ると家から出られない。練習会場やスタジアムに行けない」
 シーズン移行案が何度も見送られ、2017年12月には「10年間の議論凍結」が申し合わされた理由は、降雪地域が抱える問題を解消できなかったからに他ならない。野々村チェアマンは「大きな変革をするときに、100対0は絶対にありえない」と新潟などの主張に理解を示した上で、情報発信により力を入れていく方針を掲げている。
「諸手を挙げて賛成にはならなかったとしても、日本サッカーをよくしていきたい思いや熱量はすごく大事な部分だった。そのなかで、事実がしっかりと届いていたかどうか。冬場に多くサッカーをするわけではない点を含めて、東京から発信しても地域のメディアには伝わっていないと実感したケースもあった。それぞれのクラブが目の前の仲間であるサポーターに事実を伝える作業も含めて、説明していく作業はまだまだ多いと思っている」

 

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