Jリーグが2026年から秋春制への移行を決定した(写真・アフロ)
Jリーグが2026年から秋春制への移行を決定した(写真・アフロ)

Jリーグ秋春制移行の問題点とは?

 Jクラブの経営にかかわる課題もある。
 移行への端境期となる2026年の前半、いわゆる“0.5シーズン”をどうするのか。出場国数が48に増える次回W杯で、森保ジャパンは間違いなくアジア予選を突破する。4年に一度の祭典を前に盛り上がる期間に空白が生じれば、各クラブの収入にも大きな打撃を与える。死活問題となりかねないだけに、野々村チェアマンも検討事案としてあげている。
「0.5年分のクラブの収入をどのように確保するのか。同時にリーグの収入をどうするのかも大事なポイントになる。そのためには競争力のある、見ている人もヒリヒリするような特別な大会が必要で、それはクラブ側とも確認ができている」
 現状で2カ月強が予定されているウインターブレイクに関しても、リーグ戦こそ中断するものの、完全オフとするわけではない。野々村チェアマンは「パフォーマンスを維持するための大会や環境は、リーグとしても整備していく必要がある」として、温暖な地域を候補地とした、新たな大会を創設するプランも明らかにしている。
 約10カ月という時間を費やし、各クラブの社長だけでなくスタッフ、日本プロサッカー選手会など総勢500人と話し合いの場を持ってきたなかで正式決定した秋春制へのシーズン移行。しかし、2023年12月19日はひとつの通過点にすぎない。世界に伍する実力と規模を目指して、Jリーグは走りながら山積する課題を乗り越えていく。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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