Jリーグが2026年から秋春制への移行を決定した(写真・アフロ)
Jリーグが2026年から秋春制への移行を決定した(写真・アフロ)

Jリーグ秋春制移行の問題点とは?

 降雪地域のクラブにしっかりと寄り添っていく上で必要不可欠となる、施設整備支援などの財源に関して、野々村チェアマンは「リーグとして、100億円くらいは確実に用意できている」と明言。その上でJリーグだけではダメだと訴えた。
「100億円がなくなったらそれで終わりではなく、将来的にシーズンを通したスポーツ環境を整えていく上での意思確認はできている。サッカーファミリー全体にもかかわってくる問題なので、JFAも含めて環境を整備しましょう、と。なおかつサッカー界だけの問題でもないので、例えば企業や自治体も含めて、どのようなスキームでどのようなスポーツ施設を作っていくのか、という点は仲間を増やしながら考えていきたい」
 凍結されていたシーズン移行の議論は、今年2月に急きょ再開された。
 きっかけはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)が、今シーズンから秋春制に移行した“外圧”だった。Jリーグも秋春制に合わせるべきだという声が高まったなかで、議論の過程で夏場に極端にパフォーマンスが落ちる傾向への是非や、世界市場におけるJリーグの立ち位置や将来を考えたときに、ヨーロッパのシーズンに合わせる必要性が確認された。
 しかし、新たな日程案は猛暑の8月上旬にシーズンが開幕する。しかも毎年のように気候変動が激しくなっていくなかで、秋春制に反対しているファン・サポーターに対して、8月にサッカーを行う矛盾をどのように説明していくのか。
 Jリーグ側は6月、7月と夏季シーズンを戦った延長線上に8月を迎える現状と、オフシーズンに行われるキャンプをへて開幕する新日程とでは、選手の体にかかる負荷が違うと説明。その上で野々村チェアマンはこんな言葉を介して理解を求めた。
「8月スタートであれば大雨などで中止になる事態があっても、後半戦に逃がす日程的な余裕がかなり生まれる。それ以上に気温とパフォーマンスは相関関係にあるので、世界を戦う上で、そこに日本も手をつけないといけない流れになったと思っている」
 秋春制に移行すれば、選手たちの契約形態もシーズンに合わせられる。契約満了に伴う、いわゆる“ゼロ円移籍”で新シーズンのヨーロッパへ移籍する選手が増えるケースも考えられる。野々村チェアマンはクラブ側にも変革が必要だと将来を見すえた。
「ゼロ円で移籍されない努力は、クラブ側に絶対に求められてくる。そういうマインドに立って、世界と勝負できる強化部長やGMがどれだけ増えてくるか。当面は対処療法が必要かもしれないが、本当に求められるのは根本的な部分の変革。スタッフも含めてJリーグが世界と戦えるようになれば、懸念はなくなると考えている」

 

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