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中日の岩嵜翔のオリックスへの金銭トレードが発表(写真・黒田史夫)
中日の岩嵜翔のオリックスへの金銭トレードが発表(写真・黒田史夫)

中日がオリックスに金銭で放出した岩嵜翔の“温情トレード”は正解なのか?

 オリックスは30日、中日の岩嵜翔(35)を金銭トレードで獲得したことを発表した。背番号は「40」。6月1日にほっともっと神戸で入団会見が行われる。中継ぎ強化が急務のオリックス側が仕掛けたもので、交換要員で折り合いがつかなかったもののの中日が「もう一花咲かせて欲しい」と金銭での放出に踏み切った。賛否の声もある温情トレード。果たして中日の決断は正解だったのか。

 今季の推定年俸は2800万円

 電撃トレードが決まった。
 岩嵜は、2022年にFAでソフトバンクへ移籍した又吉の人的補償で中日に移籍した。同年にトミー・ジョン手術を受けて、2022年は1試合、2023年は登板無しに終わり、昨年6月に復帰したが、21試合で防御率5点台とほぼ戦力にならなかった。今季は開幕1軍に名を連ね、4月1日の巨人戦の7回に登板して1イニングを無失点に切り抜けて、移籍初勝利を手にした。そこから3試合に投げて、4月27日のヤクルト戦では、5回二死一、二塁で救援登板したが、連打を浴びて2失点して、翌日に登録抹消となってからは、2軍暮らしが続いていた。
 今季の中日は、絶対守護神だったマルティネスが巨人に移籍したが、新ストッパーの松山が、ここまで22試合に登板して0勝0敗18セーブ、防御率2.08の成績を残し、中継ぎ陣も160キロを連発している勝野、防御率1点台の清水や、マルテ、藤嶋、斎藤と揃っていてベテランの祖父江も1軍に上がってこれない状況。岩嵜は余剰戦力となっていた。そこに目をつけたのがオリックスだ。
 現在、日ハムに次ぐ2位につけているが、救援防御率4.54はリーグワースト。宇田川、小木田、吉田、東山、前佑の5人がトミー・ジョン手術で長期離脱することになり、古田島、山田修、山﨑颯一郎らも不振で、中継ぎ強化が急務だった。
 岩嵜は、150キロ台後半までスピードが戻っていて、ソフトバンク時代の2017年に最優秀中継ぎタイトルを獲得するなど、その実績と経験は十分。しかもパ・リーグの野球をよく知っている。
 当初、中日は野手を交換要員に1対1トレードで交渉を進めていたが、オリックス側がその中日の要望選手を出し渋った。通常は、ここでご破算となるのだが、中日が金銭でのトレードに応じた。いくらかは明らかになっていないが、今季の岩嵜の今季推定年俸は2800万円。通常の金銭トレードは、年俸と同程度がトレードマネーとされている。
 スポーツ各紙の報道によると井上監督は、「うちも余裕はないがギブアンドテイク。翔の野球人生を考えた」と裏事情を説明したという。つまり岩嵜を“飼い殺し”することなく、出場機会のあるチームで「もう一花咲かせる」チャンスを与えた温情トレードだ。ただ現在中日は借金5を抱えてリーグ5位に低迷している。温情トレードに応じる余裕のあるチームか、との批判の声もある。

 

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