
井上尚弥のラスベガス決戦の謎…なぜ父の真吾トレーナーはカルデナス陣営が求めた握手を拒否したのか…その真相とは?
プロボクシングのスーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(32、大橋)が米ラスベガスでWBA1位のラモン・カルデナス(29、米国)に2回にダウンを奪われるものの8回に逆転のTKOで破った衝撃の余波が今なお続いている。ファンの間で密かに謎の行動として話題になっていたのが、父で専属トレーナーの真吾氏(53)が、ゴング直前に相手陣営からの握手を拒否したこと。その真相とは?
「アイムソーリ―」
ファンの間で「一体何があったの?」と密かな話題になった場面があった。ゴング前に、両選手とトレーナーが、リングの中央で対峙して、レフェリーの注意事項を聞き、互いの健闘を誓う恒例の儀式。井上とカルデナスはグローブを合わせ、カルデナス陣営のジョエル・ディアストレーナーが、左手を差し出して真吾トレーナーに握手を求めた。だが、次の瞬間、真吾トレーナーはそれを無視、ぱっときびすを返してコーナーへ戻ったのだ。
井上家は礼節や信義を重んじる。
今回は、試合までに両陣営が、ファイトウイークの行事で交わるケースが多かっただけに「よほどの何かがそこであったのか?」と勘繰った。
過去には、2019年5月の英国グラスゴーでのWBSS準決勝でIBF世界バンタム級王者のフランシスコ・ロドリゲス(プエルトリコ)と対戦した際にも、公開練習でスマホで撮影していた真吾トレーナーが、相手陣営にこずかれるという事件もあった。リング上で対峙した際には、相手トレーナーが井上を至近距離から、にらみつけてきて、真吾トレーナーも握手などしなかった。
また同じような何かが…。そう思っていたが、真相は違った。
「遺恨?ないっす、ないっす(笑)。向こうが握手求めてきたとき、視界に入らずに見えていなかったんです。全然、気付いていなかったんですよ。あとで娘から“お父さんなんで?”と動画が送られてきた映像を見返しましたが、あの態度はあかんですよ。失礼なことをしました。僕はああいう礼節のないのが一番嫌いですからね」
真吾トレーナーは、試合後、大橋会長と、帝拳USAのスタッフにディアス氏へ「アイムソーリ―」と伝えて欲しいと依頼したという。
それだけこの試合に集中していたということなのだろう。
カルデナスのトレーナーを務めているディアス氏は、元6階級制覇王者で7月に計画されている世界戦が話題となっているマニー・パッキャオ(フィリピン)に土をつけた元2階級制覇のブラッドリー・ディモシー・ジュニア(米国)らを育てたことで知られる名トレーナー。それを真吾氏に伝えると、さらに、自らがとってしまった行動をさらに恐縮し反省していた。
井上尚弥は、12日、自身のXで「こんな会話があったのは内緒だけど笑えるから真吾さんには内緒でお見せする笑」とのひとことを添えて、この真吾トレーナーと交わした家族のグループlineでのやりとりのスクショを公開した。
試合後の映像を見た井上家の中でも問題になっていたようだ。だが、ここに焦点を当ててしっかりとファンに説明するあたりが、曲がったことが大嫌いな井上家らしい一面。井上は、9月14日に名古屋でWBA世界同級暫定王者、ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)との王座統一戦を戦う予定になっている。