
なぜ起きた?「原因がわからない」重岡銀次朗が世界戦後に緊急開頭手術で引退へ…意識不明で集中治療室にいる予断を許さない状況にSNSでは「回復を祈る」の激励の声が殺到
眼窩底骨折を負った10か月前の前戦は、試合後に緊急搬送され、翌日に骨折部分の修復手術を受けた。そのダメージが遠因になったのでは?との推測もできる。
だが、安河内氏は「前回かなり大きなダメージがあったと推測される方もいるが、だいぶ時間が経っているので、それが原因だったっていうのは、普通の感覚からいくとちょっと考えづらい」との見解を示した。
リング上での“事故”との因果関係があるとも言われる減量の影響やコンディション不良については、IBFでは当日計量があり、王者のタドゥランは体重超過して再計量を余儀なくされたが、重岡はクリアしている。
前日の検診、計量からずっと様子を見ている安河内氏も「朝の当日計量でもいつも通り落ち着いていた。見た感じで(減量に)それほど苦しんでいるようには見えなかった。ほんとに今は(原因が)わからない」という。
JBCは、昨年の穴口氏の事故を受けて再発防止に乗り出していた。日本プロボクシング協会と、合同で医事講習会を東西で開き、ジムに健康管理責任者を置くことを義務づけることや、セコンド4人制、タオル投入、日本タイトル戦での事前計量の導入などの改善策を実施していた。
それだけに安河内氏もショックの色を隠せず「僕らは結果を受け止めなければならない。今後もどんどん試合があり、ひとつのミスも許されない。ただ、僕自身、どうしていいかわからない感じになった」と沈痛な表情を浮かべていた。
今後の経過観察の中で、焦点となるのは脳の腫れの収まり具合だ。
安河内氏は「脳の腫れはこれからの闘いで一番の敵。その腫れをどう抑えるか。重岡選手自身が戦っています。ここ1週間くらいが状況がわかる期間。しっかりと見守り無事を祈るしかない」という見通しを伝えた。
今後もJBCの職員が病院を訪れて重岡の家族との連絡を密にとりながら、回復状況を把握し「随時状況をお伝えします」(安河内氏)というが、予断を許さない状況が続いている。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)