
「これはレッドブルにとって大惨事だ」角田裕毅のスペインGPまさかの予選最下位を元F1ドライバーが酷評…本人は「ペースが地獄のように落ちた」と原因不明の失速に困惑し自信を失う
前出の『CRASH.net』によると、角田は、あまりものショックに最後尾の20番手からスタートする決勝での巻き返しさえ、あきらめているという。
「明日の決勝ではトップ10に入るために、チームとして、そして個人としてできることはすべてやる。ただ、それでも現実的には厳しいと思っている。FP2から問題はまったく改善されていない。正直、Q1でのラップそのものは問題ないと思っていたし、ミスもなかった。それでもペースが上がらない。ほぼすべてのセットアップを試してきたなかで、これ以上セットアップを変えても、もはや意味をなさない」
今季第3戦の日本GPからレッドブルへ昇格した角田が、最後尾から決勝をスタートさせるのは、エミリア・ロマーニャGP以来、2度目となる。このときはクラッシュでマシンを大破させ、タイムなしで喫したQ1敗退に伴うものだった。
しかし、たとえセカンドドライバーだとしても、強豪チームの一角に名を連ねてきたレッドブル勢が、ミスもトラブルもない状態で、要は実力不足で決勝を最後尾からスタートさせる光景はF1界に衝撃を与えた。今季でいえば、開幕2戦目の中国GPのリアム・ローソン(23、ニュージーランド)以来だ。ローソンは中国GP後に角田との交代を告げられ、姉妹チームのレーシングブルズへ降格した。ローソンと交代で昇格した角田は、6戦を終えた時点で最高位が9位で、前戦モナコGPでは完走した18台のなかで17番手と惨敗し、獲得ポイントは「7」のままでとどまっている。
崖っぷちの状況に立たされたことは間違いない。
F1公式サイトは「苦戦を強いられていたツノダのQ1敗退は驚きではないが、20番手は予想よりも悪かった」と指摘。ルノーに所属した元F1ドライバー、パーマーの厳しい論評を紹介している。
「これはレッドブルにとって大惨事だ。レッドブルは明らかにフェルスタッペンだけでレースを戦っている。ローソンをわずか2レースで降格させたのは、フェルスタッペンとともに戦えない、と判断されたパフォーマンスが理由だった。その上でレーシングブルズに所属していたツノダを起用したはずなのに、再び同じ状況に陥っている。レッドブルとして、現状をどのように説明するのだろうか」
レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務める重鎮、ヘルムート・マルコ氏(82)はローソンの降格に踏み切った理由として、中国GPを終えた段階で「明らかに負のスパイラルに陥っていた」というメンタルの落ち込みをあげていた。今の“弱気”な角田も、そのローソンが降格した時の状況に重なる。対照的に姉妹チームのルーキーであるハジャーは、好調を維持。角田のセカンドシートの座を脅かしている。角田は、同じく20番手からのスタートとなったエミリア・ロマーニャGPではタイヤマネジメントとピット戦略が奏功し、決勝ではごぼう抜きの快走で10位入賞を果たした。このままで終わるわけにはいかない。もし決勝で順位を上げることができなければ、ハジャーとの交代論が加熱することになる。