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6.19の世界戦に向けて米国から来日したWBO世界ウエルター級王者のブライアン・ノーマン・ジュニア(右)と父でトレーナーのノーマン・シニア氏
6.19の世界戦に向けて米国から来日したWBO世界ウエルター級王者のブライアン・ノーマン・ジュニア(右)と父でトレーナーのノーマン・シニア氏

超本気!井上尚弥に負けたフルトンを教訓に6.19佐々木戦の14日前に来日したWBOウエルター級王者ノーマン…自慢した恐怖の左拳の“KOダコ”と手術跡の意味

その左手の中指の拳部分に大きなタコができあがっていた。ハードパンチャーの証でもある“KOダコ”。中指の拳のピンポイントで突き刺すようにパンチを当てているという証拠でもある。
 さらに甲の部分に10センチ以上の手術の跡。右手にタコはなかったが、こちらにも手術跡があった。ノーマンは4年前に左手拳を手術し、昨年5月のWBO世界同級暫定王座決定戦で、ジョバニ‣サンティリャン(米国)を左アッパーで10回にキャンバスに沈めて、世界ベルトを奪取し、その後、正規王者に昇格したのだが、この試合でまた左拳を痛めた。
 さらに11月にクエバスとの初防衛戦が決まっていたが、そのトレーニング中に怪我が再発して手術をし3月に延期となった。29戦27勝(21KO)無敗2無効試合の戦績が示すハードパンチャーゆえの宿命だろう。ノーマンは怪我を努力で乗り越えてきた苦労とその“KOダコ”が示す練習量を示したかったのだろう。
 引退を表明したワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)とラスベガスで戦った男として知られる中谷正義氏(現在は大阪吹田市で中谷ボクシングフィットネスクラブを経営)に手の写真を見てもらった。
 中谷氏は、怪我の情報を知らなかったが「拳を痛めている人の形をしている」と一発で見抜いた。
「タコができる、できないは個人それぞれの体質もあります。僕はできませんでした。決してハードパンチャーだからできるというわけではありません。素手でサンドバッグを打たなくとも、バンテージの中で擦れてできることもあります。フック、アッパーを得意とするボクサーに多い傾向なんで、その2種類を多く打っているんでしょうね」
 王座を獲得したサンティリャン戦は左フックを効かせた後に右フックで戦意喪失させた。初防衛戦のダウンも左のアッパー。確かに中谷氏が指摘するように前の手のフックとアッパーが要警戒だろう。
 この試合は、佐々木が絶対不利だが、中谷氏は、「頭でパンチを受けるなどして、試合の序盤に不安のある左の拳にダメージを与えてしまうのも手かも」とそこにノーマンの死角があるとの見方もしていた。
 ノーマンは、この試合の先に、エニスとの3団体統一戦、あるいは7月19日に対戦する4年ぶり復帰の元6階級制覇王者のマニー・パッキャオ(フィリピン)とWBC世界同級王者、マリオ・バリオス(米国)の勝者との統一戦を見据えている。
「自分のためのミッションがある。過去の偉大なボクサーたち、モハメド・アリ、シュガー・レイ・レナード、シュガー・レイ・ロビンソン、フロイド・メイウェザーらがたどってきた道を自分自身も遂行し、越えていきたい」
 まだ24歳のノーマンは壮大な夢を明かした。
 超本気でくるウエルター級王者に佐々木はどんなボクシングで世紀の番狂わせを起こしてくれるのだろうか。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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