
WBC&IBFバンタム級統一戦を前に中谷潤人の「打たれ弱いのか」論争…“ナニワの仕掛け人”への秀逸アンサーと2人の王者が揃って無視した井上尚弥戦
「ポスターを見ても実物もそう。中谷チャンピオンは非常に顔が小さい。ここ何戦か見させてもらったが、その前は、まさか西田と試合をするとは思っていなかったのでしっかりとチェックはしていなかった。(パンチが)効くのかな、強いのかな、弱いのかな、どうなのかなと、単なる素朴な質問です」
公開練習では村野会長が「打たれ強いとは思いますが」と返答していた。
「弱いとは言わんでしょうしね。弱ければ倒れているでしょうしね。すでに何回か」
それが枝川会長の見立て。
そして枝川会長が焚きつけた「打たれ弱いのか」論争に中谷が秀逸なアンサーを用意していた。
「僕が打たれ強いか、弱いかも含めて楽しんでもらえたら」
ボクシングスタイル同様、なかなかの切り返し。つまり「打たれ弱くはない」と答えているようなものだった。
実は、30戦無敗の中谷はそのキャリアで一度だけダウンを喫したことがある。12戦目のフライ級6回戦。工藤優雅(マナベ)戦だ。3ラウンドの終盤に至近距離から頭をつきあげると同時に右フックを浴びて、効かされたダウンというより、その勢いでバランスを崩して、一瞬右手をキャンバスについただけ。フラッシュダウンとも言えないものだが、このラウンドの「8-10」採点が響き、この試合は1人がドローをつける2-0判定勝利となっている。実質、ダウンはしたことがないと見ていい。
だが、こんな声もある。
IBF世界ライト級王者でありながら、電撃引退発表をしたワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)と戦った男として知られる中谷正義氏(現在は大阪吹田市で中谷ボクシングフィットネスクラブを経営)は「ディフェンスのいい中谷が世界戦で、危ないダメージブローを打たれたシーンは、ほぼないので、打たれ弱いか、打たれ強いかは正直わからない」という見方をしている。
ただ「あの体型的にボディは弱いのではないか」と推測した。
「同じ中谷で親戚でもないんですが(笑)体型は僕と似ていますよね。背が高くて腹が薄い。僕もそうでしたが、こういう体型のボクサーってボディが弱いんですよ。逆に西田選手はロドリゲスをボディで攻略して世界を獲ったように接近戦でのボディが得意。それを打てるポジションに入れるかどうか。おそらく中谷陣営も絶対にその対策はしています。具体的にはアッパーです。中谷選手はそのパンチが得意だしインファイトでボディを狙うとアッパーが当たるんですよ。もちろん西田陣営もそのボディに対するアッパーも頭に入れて対策の対策をしていると思います。接近戦での駆け引きが面白いんじゃないですか」
中谷の秀逸アンサーで決着がついたように思えた「中谷は打たれ弱いのか?」論争をまた蒸し返した。