
「那須川天心にKOの仕方をアドバイスしたって?」名門帝拳“秘密兵器”23歳の高見亨介が7.30横浜でWBA世界ライトフライ級王座にプロ10戦目で初挑戦
本田会長が高見に惚れ込んでいるもうひとつの理由はそのスター性だ。
そこは高見も自覚している。
スターになるための条件は何だと思うか?
そう問うと「一番はボクシング。おもしろい試合、倒す試合が魅力」とした。
だからロサ戦でも「KOを狙う」と宣言した。
「キャラクターも大事。ありのままを出せたらいい。会長に言われた生意気具合を出せれば、いちかばちかで受けるんじゃないか(笑)。たまに失敗することがあるかもしれないが」
そこに独自色を付け加えることを忘れていなかった。
そして「若い世代の火付け役になりたい。帝拳も乗ってきている。国内チャンピオンは10人いる。世界チャンプも徐々に増えていけばいいなと。その先駆け、火付け役になりたい」とも続けた。
7月30日に横浜BUNTAIで高見が世界王者となれば、11月にも世界戦が予定されている同門の那須川天心よりも先に憧れのベルトを手にすることになる。
その天心は、6月8日の世界前哨戦で、ビクトル・サンティリャン(ドミニカ共和国)に判定勝利したもののKO決着はできず、インパクトを与えることはできなかった。
スターを目指す以上、身近にいるその天心がライバルにもなる。
「天心はスター性が抜群なんで試合内容では負けないようにしたい」
高見は、有明コロシアムにサポートにいっていたが、そこでの天心との控室でのエピソードを明かした。なんと天心から「どうやってら倒せるの?」と質問を受けたというのだ。
「流れだよ、と言った。生意気にアドバイスをさせていただきました」
早くも1本取った。
高見のゴールはこのベルトではない。
まだ一つ目のベルトも取っていないが、「目標は複数階級の王者。スーパーフライ級まではいきたい」と3階級制覇を掲げる。通常体重は57、58キロはあり、ライトフライ級のリミットの48.98キロまで10キロ近くの減量がある。馬肉を使った減量メニューで乗り切っているそうだが、「すごくきつい。取ったらすぐに王座を返上?そうですね。体と相談しながら決めていきますよ」と、またまた大胆な発言をした。
フライ級に上げれば、ひな壇の隣に座っていた統一王者がターゲットになっていく。
「拳四朗選手と戦ってみたい。いちボクサーとして(拳四朗は)最強なんで、そういうボクサーと一戦を交えたい。やりたいと思いますね」
実は高校時代に拳四朗とのスパー経験がある。
「そのときは拳四朗選手が手を抜いていた」
プロに入ってからもスパーの話が何度かあったが、結局一度も行っていないという。
拳四朗は、スーパーフライ級への転級を計画中だけに、高見が挑むには、そう時間的な余裕はなく、すれ違いに終わる可能性もある。ただ米リング誌が定めるパウンド・フォー・パウンドランキングの9位に入っている軽量級最強の拳四朗との対戦を熱望するあたり、間違いなく骨がある。
高見は、今後、元WBO世界ミニマム級王者の谷口将隆(ワタナベ)や同門の日本ミニマム級王者の松本流星らとのスパーリングで調整していく予定。7.30横浜BUNTAIにまた一人ネクストモンスター候補が誕生するのかもしれない。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)