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4.8有明でWBA世界バンタム級王座決定戦に挑む井上拓真(右)と特別コーチとして指導したロンドン五輪代表の須佐勝明氏(左)
4.8有明でWBA世界バンタム級王座決定戦に挑む井上拓真(右)と特別コーチとして指導したロンドン五輪代表の須佐勝明氏(左)

「最終回をしっかり決めてすげえ」WBCではなくWBA王座を狙う井上拓真も大谷翔平の「泥だらけのストッパー」に刺激を受ける

 プロボクシングのWBA世界バンタム級王座決定戦(4月8日・有明アリーナ)に挑む元WBC世界バンタム級暫定王者の井上拓真(27、大橋)が27日、横浜の大橋ジムで公開練習を行った。同ベルトは兄の井上尚弥(29、同)が返上した王座。3年5か月ぶりの王座奪還を目指す拓真の相手は、41歳の経験豊富な元WBA世界スーパーフライ級王者で同級3位のリボリオ・ソリス(ベネズエラ)。亀田大毅や山中慎介らと対戦している日本のファンに馴染みのある突貫型のファイターだが、ロンドン五輪代表の須佐勝明氏(38、日本ボクシング連盟理事、株式会社AYUA社長)を2月から特別コーチに招き、課題点を磨いた。拓真は「完封勝利」を宣言。須佐氏も「序盤からKO勝利もある」と予告した。WBCで優勝したエンゼルスの大谷翔平(28)の活躍にも、刺激を受けたという拓真は、兄の偉業を継承する4団体統一への第1歩を踏み出す。

 テーマは覚醒

 そのTシャツには英語で「AWAKEN」と書かれていた。
 覚醒――。訳すとそういう意味だ。
「これまでは再生。今度はここから4階級制覇に向けて覚醒するんだという気持ちでこの言葉をテーマにしました」
 2019年11月のWBSS決勝で兄の尚弥がWノニト・ドネア(フィリピン)に激勝した興行のセミファイナルで当時のWBC世界バンタム級正規王者のノルディ・ウバーリ(仏)と統一戦を行ったが、悔しい判定負け。そこから再起すると、OPBF東洋太平洋バンタム級王者の栗原慶太(一力)、世界挑戦経験のある和氣慎吾(FLARE山上)、日本スーパーバンタム級王者の古橋岳也(川崎新田)ら国内の強豪を次々と撃破して世界再挑戦のチャンスを待ち、兄がバンタム級の4つのベルトを返上したタイミングで階級をスーパーバンタム級からバンタム級に戻して、ついに時が巡ってきた。
「必ず返り咲くという気持ちが強い。ワクワクしている。プレッシャーはそこまで感じていない、自信があるんで、決まったときから楽しみしかない」
 自分に言いきかせているわけでもない。悲壮感はなく、その表情には真の自信からくる余裕があった。
 兄の尚弥は5月7日に横浜アリーナでWBC&WBO世界スーパーバンタム級王者のスティーブン・フルトン(米国)に挑戦予定だったが、拳を痛めて7月に延期となった。
「中止じゃなくて延期なんで、尚(弥)も準備期間が増えたとポジティブに捉えているのでそれはそれで良かったと思う。今は治すことに専念してもらえればいい」
 その兄がスーパーバンタム級に階級を上げるため、パートナーとしてフェザー級の世界24位と元WBCユースシルバー王者のメキシコ人2人を呼んだが、拓真も、彼らと通常の試合より多くスパーリングを重ね、「パワーのある相手とやり通せた」との自信が芽生えた。
 さらに自信をサポートしたのがオリンピアンの存在。今回、ロンドン五輪代表の須佐氏を特別コーチに招いたのである。井上家とは尚弥がアマチュアで五輪を目指していた頃から代表合宿などで親交があり、父で専属トレーナーの真吾氏の説明によると、現役復帰した2人のいとこの井上浩樹が須佐氏と食事した際に話が出て、尚弥、真吾トレーナーに相談。真吾トレーナーが「中身は秘密だが、拓真には伸ばしたい部分があって。そこを教えてもらうには、須佐さんがピッタリだった」と、その話に乗り、大橋会長の了承を得て、2月からチームに合流した。
 当初は週に2度ほどだったが、最後には週4ペースで見るような関係になったという。
 須佐氏は、ミットも受け自ら手本を示しながら指導した。
「思った以上にスピード、パワーがあり、体幹が強くスタミナもあった。飲み込みも早い。(ボクシング)IQは高い。しっかりと自分のボクシングができる体制が整った」

 

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