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日本人初のウエルター級王者を狙う佐々木尽が公開練習(写真・山口裕朗)
日本人初のウエルター級王者を狙う佐々木尽が公開練習(写真・山口裕朗)

佐々木尽が日本のボクシング界の歴史を変える“世紀の番狂わせ”を起こすこれだけの理由…幸運の白蛇まで現れる

 日本人初のウエルター級の世界王者を目指す佐々木尽(23、八王子中屋)が12日、八王子のジムで19日に大田区総合体育館で行われるWBO世界同級王者、ブライアン・ノーマン・ジュニア(24、米国)戦に向けての練習を公開した。いかに成長したかを示すために過去のパネルを叩き壊す異例のパフォーマンス。ブックメーカーの予想では佐々木が1対4で不利だが、幸運の白蛇がジムの前に現れるなど“世紀の番狂わせ”を起こす可能性を示す多くの理由が揃っているという。

 

幸運の白蛇がジムに出現(写真・山口裕朗)

 過去の自分を倒す面白いパフォーマンス

 後楽園ホールのリングを模して造られた八王子中屋ジムのリングに2枚の等身大の佐々木のパネルが置かれた。1枚は4年前の日本ユース・スーパーライト級王者時代のパネル、もう1枚は、OPBF東洋太平洋ウエルター級&WBOアジアパシフィック同級王者時代の1年前のパネル。
「過去の自分を超える」をテーマに自ら考えたパフォーマンスで、佐々木は、真剣に4年前の自分を右ストレートでぶっとばして左フックで止めをさし、1年前の自分は、左フックの2連発で、無残に折り曲げてしまった。
「過去の自分は強くなかった。見ての通り動かないしディフェンスが甘かった。あれじゃあ世界で通用しない。今はスパーでも(パンチを)もらわなくなった。そこが変わった。パターンも増えた。完全に準備できましたね」
 佐々木の楽しいマスコミサービス。好感が持てる。
 決戦を1週間後に控えて減量も順調に進んでいる。
 栄養士をつけて、LINEを通じてアドバイスをもらい「米で炭水化物を取り練習前に大好きな大福や最中、羊羹など脂質がない和菓子を食べる」という異例の方法ですでにリミットまで残り4キロの状態。スーパーライト級時代に体重超過したトラウマがあるが、今回不安はない。
「ノーマンはスキルも気持ちもある。微妙な違いしかないが、自分は命をかけている。肉体が滅んでも勝ちが欲しい。その覚悟がある。後はパワー。絶対に負けないですね」
 過去にウエルター王座に挑んだ日本人は辻本章次(ヨネクラ)、龍反町(野口)、尾崎富士雄、佐々木基樹(いずれも帝拳)の4人だけ。国内での世界挑戦は、1989年12月にWBA世界同級王者のマーク・ブリーランド(米国)に挑んだ尾崎以来36年ぶり。佐々木は、過去に世界の上位ランカーとの対戦もなく、下馬評は、もちろん不利だ。英大手ブックメーカー「ウィリアムヒル」のオッズはノーマン勝利が1.25倍、佐々木勝利が4倍で、約1対4の厳しい見立てとなっている。
 しかも、2週間前に来日したノーマンには一切油断はない。8日には、有明コロシアムでのAmazonプライムの興行を訪れて日本の雰囲気も体験している。来日後の練習動画をチェックした佐々木は、「礼儀正しく真面目でちゃんとしている。みんなが思っているほど舐めてきていない。本気でやってきている」と言い、むしろ「そういう相手でないとつまらない。舐めてきた相手に勝って、もっと本気だったらなんて、言われるのは嫌。本気で来てほしい。本気で来て勝てる。いや全力でこないと今の自分には勝てない」というメッセージを伝えたほどだった。
 ノーマンは、まだV1戦を終えたばかりだが、WBA&IBF同級王者のジャロン・エニス(米国)との統一戦プランもある王者で、もし佐々木が勝てば、日本ボクシング界だけでなく世界に衝撃を与える“世紀の番狂わせ”となる。
 だが、佐々木陣営には、奇跡を起こす確信がある。中屋一生会長の父で、会長を退いてからはトレーナーとして佐々木を13歳の頃から育ててきた中屋廣隆氏は、ジムの30年の歴史の中で2度あった番狂わせに重ねて「状況が似ている。勝てるイメージがある」という。

 

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