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  • 「本当に勝てると思っていた。敗因は技術の差」5回失神KOの佐々木尽は“オオカミ少年”だったのか…再起会見で明かしたノーマン戦の3つの誤算と世界に「追いつける」とした根拠
佐々木尽がWBO世界ウエルター級王者のノーマンに5回KO負けした6日後に再起会見を開く
佐々木尽がWBO世界ウエルター級王者のノーマンに5回KO負けした6日後に再起会見を開く

「本当に勝てると思っていた。敗因は技術の差」5回失神KOの佐々木尽は“オオカミ少年”だったのか…再起会見で明かしたノーマン戦の3つの誤算と世界に「追いつける」とした根拠

 そして3つ目の誤算はノーマンが挑発に一切乗ってこなかったことだ。佐々木は2ラウンドにグローブで「来い!」「来い!」とジェスチャー。3ラウンドにクリーンヒットを何発か浴びると「ウオー!」と叫び声をあげた。
「ノーマンは攻撃した時に隙がある。だから、ひるんじゃだめ、気持ちが折れていないことを相手に見せて威嚇する。そういう感覚でやった。攻めてきたらカウンターを合わせようと。でも冷静だった。前回を反省しそこもレベルアップされていた。僕はすべてで下回っていた」
 ノーマンも、試合後の会見で「つきあうつもりはなかった」とあえて打ち合いに応じなかったことを明かしている。また王者は「打った後にガードが空く。そこを狙った」と事前のチェックで弱点をみつけ、リング上でそれを再確認した上で狙ったことも告白していた。
 佐々木は、「打った後に動くことを意識していたが、そこは甘かった。練習では克服して結構できていたが、打ったら動くだけじゃなく、その後の動きも狙われていた。これからはディフェンスの練習を改善していかなくちゃいけない」と猛反省。
 そして佐々木は、ノーマン戦の敗因の正体を「技術」とした。
「ボクシングスキル、技術面に(実力差を)感じた。攻撃をする時のすべてにディフェンスが入っていて、ディフェンスをする時も攻撃が入っている。パンチの乗せ方もうまい。フィジカルでは、向こうが体重のリカバリーで重かった部分もあるが、根本的なスピードとパワーの差はあまり感じなかった。それより体感で感じたのが技術の差。相手は100%のパワー。こちらはパワーを20%くらいにされて、力を入れ辛いところのいいポジションにもっていってパンチを繰り出す。こっちが崩されて相手が強く見える」
 13歳から佐々木を見ている71歳の先代会長、中屋廣隆トレーナーにとってもショッキングな敗戦だった。ノーマンの公開練習でのサンドバッグ打ちを見たとき「その音を聞き、尽の方がパンチはキレているよ」と感じた。メディアに「勝負になる」と語った理由はそれだった。だが、蓋を開けてみれば、何もできなかった。
「トータルで歯が立たなかった。攻防同体をやりたくても時間がなかったのが現実」
 佐々木は改めて再起を宣言した。
「恥ずかしくて悔しい。一般的にパッと見たら相当の差があるように見えると思う。でも今回味わったものを吸収すれば追いつける。その自信と実感が沸いた。技術の差を今後、勉強して磨いて高めていくと、ウエルターの世界チャンプを取れる。今は絶望しているかもしれないが、早く(世界を)取った姿をみんなに見せたい。負けた瞬間からずっと思っている」
 具体的な世界再挑戦への時期については「プランがどうなるかは自分でわかることじゃない。決められた試合をひとつひとつ勝ってアピールして、もう一度、世界挑戦を早くしたい。1年、2年くらい突き詰めてやれば間に合う」という。
 中屋トレーナーは「1試合1試合やってみてその成長次第」と世界再挑戦の目標時期を回答しなかった。長所を伸ばすか、弱点を埋めるか。指導者としては悩ましいところだろう。当日の体重で「5、6キロ」は違っていたフィジカルも足らない。まだ23歳。体もできていない。スピードも世界レベルには至っていない。佐々木がお手本とするスーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(大橋)が駆使するパンチの正確性ももっと高めなければならない。だが、一番の強化ポイントはディフェンスだろう。

 

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