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迷走劇の背景を説明する横浜F・マリノスの西野努スポーティングダイレクター
迷走劇の背景を説明する横浜F・マリノスの西野努スポーティングダイレクター

なぜ最下位の横浜F・マリノスの監督人事は迷走しているのか…ホーランド、キスノーボ監督の連続解任に新監督候補との交渉決裂

 J1で最下位に沈む横浜F・マリノスの西野努スポーティングダイレクター(SD、54)が20日、横須賀市内のクラブハウスで取材に応じ、パトリック・キスノーボ前監督(44、豪州)を18日付で解任した経緯を説明した。4月のスティーブ・ホーランド元監督(55、英国)の解任を含めて、今シーズンの監督人事を「失敗だったと言わざるを得ない」と振り返った西野SDは、新監督候補との破談や主力外国籍選手の移籍が報じられる迷走のなかで、日本人の監督経験者のもとで巻き返していく方針を明かした。

 「投げ出すのは責任の放棄」

 チーム編成の責任者が自らの失敗を認めた。
 今シーズンから指揮を託したホーランド元監督を4月18日付で解任。さらにヘッドコーチから昇格したキスノーボ前監督をも、ちょうど2カ月後に解任したドタバタ劇を、マリノスの編成トップを担う西野SDはこう位置づけた。
「いまの結果を見れば、ホーランド監督とキスノーボ監督の選任は失敗だったと言わざるを得ない。結果だけを考えると、そうなると思っている」
 ホーランド元監督を解任した時点で、マリノスは1勝5分け5敗、勝ち点8でJ2降格圏の18位にあえいでいた。しかし、キスノーボ前監督のもとでも2勝6敗と黒星が大きく先行し、ついには最下位に長く沈む泥沼に陥った。
 西野SDはキスノーボ前監督に対して、リーグ戦の6試合が組まれていた5月で最低でも3勝を実質的な“ノルマ”として掲げていた。しかし、状況は好転しないまま4連敗を喫し、前任者から続く連敗は「7」と、クラブ史上でワースト記録を更新した。この時点で決断すべきだったが、西野SDはこう語っている。
「6試合で3勝と話したタイミングがベンチマークになると思っていたので、それが達成できなかった時点で、準備の濃度と密度を上げました」
 しかし、5月の最後の2戦で首位を走る鹿島アントラーズに3-1で、FC町田ゼルビアには3-0で連勝。これが最終的な決断を遅らせたのか。日本代表活動でリーグ戦が中断し、新体制下でチームを作り直す絶好の機会をマリノスは逃してしまった。
 実際、中断明けの11日に行われた天皇杯2回戦で、マリノスはJFLのラインメール青森にまさかの金星を献上してしまう。さらに勝てば最下位から脱出できた、15日のアルビレックス新潟との“直接対決”でも敗れ、オフ明けの17日の練習からは大島秀夫ヘッドコーチ(45)が暫定的に指揮を執っていた。
 昨シーズン途中の4月に、浦和レッズのテクニカルダイレクターを退任。マリノスの少数株主であるシティ・フットボール・グループ(CFG)を経て、今シーズンからマリノスのSDに就任した西野氏は、引責を問う質問にこう答えた。
「責任という言葉の定義をあらためて考えている。任命責任という言葉もあるし、チームをよくしていく責任もある。自分自身はチームに貢献できると強く信じて仕事をしているので、途中でそれを投げ出すのは責任の放棄だと考えている」
 ホーランド元監督、そしてキスノーボ前監督には、初めて訪れた日本で仕事をする共通点があった。これらを反省点としてあげ、3度目の失敗は許されないと自らに言わんばかりに、西野SDは新監督の条件として日本人の監督経験者をあげた。
「新たに外国籍監督を連れてくるとなった場合、今シーズンのホーランド監督やキスノーボ監督のように、初めてJリーグの舞台で日本人選手を指導してもらうのはやはりリスクが高い。現状のスカッドをフル稼働させる点が優先されるなかで、日本のサッカーを経験されている方、できれば日本人で、と考えている」
 キスノーボ前監督の解任に続いて、後任候補として昨シーズン途中まで当時J1のサガン鳥栖の指揮を執った川井健太氏(44)の名前が報じられた。西野SDがあげた条件にも合致するが、ほぼ合意とも伝えられた直後に一転して破談が伝えられた。川井氏が望むコーチ人事を巡る交渉で、折り合いがつかなかったためとされている。

 

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