
巨人が阪神との“伝統の一戦”に1-2で惜敗した理由はキャベッジの「野球を知らない」“暴走”だけではない…後手を踏んだ阿部監督のベンチワークに捕手4人制の盲点と坂本勇人の“限界”
3回一死三塁で、森下を迎えた西舘―岸田のバッテリーは全球ストレート勝負。カウント2-2から高めを攻めた152キロのストレートを引っ張った「ちょっと詰まった」打球がジャンプしたショートのグラブの上を超えていった。
スライダー、カットを多投して三振に終わらせた第1打席とはうって変わり、裏をかいたはずの配球が、“打点王”の森下には通用しなかった。
前出の評論家は、「今巨人は攻撃面を考えてか甲斐、岸田、大城、小林の捕手4人制を敷いているが、こういうバッテリーの配球ミスを見るとその捕手4人制の盲点というか悪影響が出ていると思う。それぞれの捕手に配球の特徴があるが、相手チームの傾向や弱点を把握するという点では、逆にバランスが悪くなる」という見解を述べた。
また「7番・三塁」でスタメン出場した坂本もブレーキになった。2回二死三塁の同点機にストレートで追い込まれて最後はフォークで三振。2点を追う4回にも一死満塁でカウント2-2から、ベースの手前でワンバウンドするようなフォークで連続三振に倒れた。才木―梅野のバッテリーは、ストレート2球で追い込んだ後にスライダーを外角へ2球続けていた。
おそらく坂本はストレート1本に絞っていたのだろう。この日、才木がフォークを制御できていなかったということも頭の中にあったのかもしれない。だが、とんでもないワンバウンドを振るくらいのタイミングで待たねばストレートにも対応できないということ。サンテレビで解説を務めた前阪神監督の岡田オーナー付顧問は、「あのワンバンを振るならバッテリーは楽よ。フォークなら振るという配球。ちょっとしんどいかも」という話をしていた。
坂本は6回二死一塁から3番手の湯浅の初球のストレートを右中間に運び、タイムリー二塁打としたが、疲労の蓄積の影響か、湯浅のボールは来ていなかった。岡本が長期離脱している打線において、この試合まで打率1割台だった坂本を起用せざるを得ないところが巨人の悩ましいところだろう。
前出の評論家はこうも伝えた。
「横浜DeNAに3連勝した山崎、グリフィン、赤星の表ローテーに対して、西舘、井上、横川の3人を首位の阪神との3連戦に持ってこなければならないローテーはいかにも苦しい。戸郷が復調できていない影響。グリフィンを暑い甲子園ではなく快適な東京ドームで投げさせて確実に勝ちを拾いたいという狙いは理解できるが、村上、才木と表も裏もローテーの軸となるエースが配備できる阪神とは大きな違いだ」
今日の第2戦の先発は巨人が井上、阪神が大竹の左腕対決。井上は交流戦では3試合に投げて計10失点するなど、ひとつも勝てなかった。6月10日のソフトバンク戦では2回持たず危険球退場を命じられ、雪辱をかけた17日の日ハム戦でも5回8安打4失点で6敗目を喫して19日に2軍落ち。それ以来の復調をかけたマウンドとなる。