
衝撃結末の裏に何が?流れを変えた横浜DeNA「7回のベンチワークのミス」と“休養”でスタメンを外した大山悠輔を代打起用して一気に逆転を狙った藤川監督の“勝負師采配”
阪神が4日、横浜スタジアムでの横浜DeNA戦に7-1で逆転勝ちで6連勝、がっちりと首位をキープした。勝敗を分けたけたのは終盤の攻防。横浜DeNAは7回無死一、三塁からのスクイズ失敗などで追加点を奪うことができず、阪神は8回無死一塁からコンディションを考えてスタメンを外した大山悠輔(30)を代打に送るなどして一気に逆転に成功。9回に途中出場の脇役選手らの活躍で5得点のビッグイニングを作り快勝した。一方の横浜DeNAは広島に1-0勝利した巨人と入れ替わりで4位に転落した。
三浦監督「(7回)追加点を取れなかったのが響きました」
ハマスタを埋めたベイファンにとっては衝撃的な敗戦だったのかもしれない。
1-0でリードしていた緊迫のゲームが終わってみれば1-7の大差負け。流れを変えるポイントとなったのは、試合後のフラッシュインタビューで三浦監督が「7回(追加点を)取れなかったのが響きましたね」と嘆いた7回の拙攻だった。
阪神の先発の村上から山本、梶原の連打で無死一、三塁の追加点機を作った。前の打席にライト前ヒットを放っていた京田のその初球。バントの構えをした。セーフティースクイズだったのか。投球がボールとなり、京田はバットを引くが、三塁走者の山本が飛び出していた。坂本が刺殺を試みるが、山本は頭から戻ってセーフ。2球目も、京田はバントの構えをしたが、変化球を見送りストライク。何もしなかった。ベンチが動いたのはカウント2-1からの4球目だった。ストライクを取ってくる確率の高いカウントで、山本に投球と同時にスタートを切らせるスクイズを敢行したのだ。2度も牽制するなど警戒していた阪神バッテリーは、バントの難しいスライダーを投じてきた。京田はバットに当てたがファウルになった。緊張からか体がまるで石のように固まってしまっているように見えた。
横浜DeNAベンチは強攻策に切り替えた。一塁走者の梶原にスタートを切らせた続く5球目。京田の打球は、セカンド中野の正面にツーバウンド。中野のポジションは、二塁での併殺を意識した中間守備だった。バックホームしたが、山本はゴロゴーのスタートを切っておらず、まだ三本間の中間地点にいた。山本は4-2-5-3とボールが渡る挟殺プレーでアウトとなり、その間に梶原も三塁へ進めなかった。
現役時代にタイトル獲得経験のある評論家の一人はベンチワークと走塁ミスを指摘した。
「なぜ初球にセーフティースクイズの動きを見せ、実際スクイズをさせるほど1点にこだわったにもかかわらず三塁走者の山本にギャンブルスタートを切らせなかったのか。サインが出ていたのかもしれないが、そこを徹底できていれば、ホームはクロスプレーだったと思う。さらに挟殺プレーの間に梶原が三塁へ進んでいなかったのもハッキリ言って走塁ミス。すぐに動いていれば、三塁へ進めたと思う。一死一、三塁であれば、まだ追加点機のチャンスはあったが、これらのミスで完全に試合の流れを阪神に明け渡した」
さらにチャンスは続いたが、代打の筒香は、村上の3球連続のストレート勝負についていけずに空振りの三振。桑原も「1点もあげられない気持ちだった」という村上の10球中変化球は1球だけという鬼気迫る徹底したストレート勝負に押し込まれてセンターフライに倒れた。
阪神に傾きかけた勝負の流れを藤川監督は見逃さなかった。前日の巨人戦で9回に開幕から31試合連続無失点だった絶対的守護神のマルティネスを攻略した勝負師的采配がまたしても冴える。