
「166kmを見たら自分もまた努力できる」なぜ西武4年目の羽田慎之介は日本人左腕史上最速の「160km」を叩き出せたのか…その1球は四球に終わるも西口監督や古賀捕手が絶賛
当時の日本人左腕の歴代最速記録保持者で西武時代に158キロをマークしている菊池雄星(34、当時ブルージェイス、現エンゼルス)は、大器の片鱗を見せた羽田の初登板に抱いた率直な思いを、自身のX(旧ツイッター)へ投稿している。
「噂には聞いていましたが、リリースの強さが強烈ですね。日本人左腕最速を更新するのは彼だと思います」(原文ママ)
菊池の予感は的中した。今年6月27日の日本ハム戦、そして今月5日のソフトバンク戦で159キロをマークした羽田は日本人左腕で歴代トップに浮上。恋女房の古賀が時間の問題と感じていたように、一気に160キロへと到達した。
もっとも目標に到達した羽田は課題をあげることも忘れなかった。
「まだまだ球速を伸ばしていきたい。160キロをクリアしたので、何だろう、もっと見えないような数字というか、どうやったら出せるんだろう、みたいな。たとえば166キロとか、そういうところを見たら、自分もまた努力できると思う。ただ、今日も途中交代しているし、球速以外でもやらなきゃいけないことばかり、という感じです」
こう語った羽田は、この先に160キロ以上の球速を出せる感覚はあるのか、と問われると「感覚はないですけど」と断りを入れた上でこう続けている。
「自分の身体の状態とかポテンシャルを見ると、まだ出せるとは思っています」
日本人左腕では前人未到の領域を歩み始めた羽田だが、日本人右腕へ目を向ければ大谷翔平(31、ドジャース)と佐々木朗希(23、同)の165キロを筆頭に、合計で15人もの投手がNPBにおいて160キロ超えを記録している。
もちろん球速だけがすべてではない。それでも、160キロ台は限られた投手だけが足を踏み入れられる世界でもある。マウンドに上がるたびに夢やロマンを抱かせる存在になった羽田は、2025年7月14日を通過点にするべく成長を続けていく。
(文責・藤江直人/スポーツライター)