
「広陵は辞退などする必要はない」93歳の日本球界大御所がSNS騒がす広陵の“暴力事案”にモノ申す…1回戦対戦相手の「握手拒否」事件には「やってはならない行為」と激怒
広岡氏は高校時代には決勝で敗れて甲子園出場経験はない。それだけになおさら夢舞台に立っている球児たちへの思いは強い。また93歳になるが、SNSで騒ぎとなっていることも承知している。
「SNSで何を書かれようが動揺しちゃいかん。それとそのSNSの話題を大きく取り扱うメディアもどうかしている。暴力を認めた広陵の野球部の何人かは反省しているだろうし、今後、大学、あるいは社会人で野球を続ける球児たちもいるだろう。被害を受けた生徒、保護者の心中もわかる。どちらにもこの先がある。大人たちは、そこを考えてやらねばならない」
広岡氏が懸念しているのは球児の未来についてだ。
被害者が精神的なトラウマを負うことにならないようにケアもしなければならない。
また広岡氏が「やってはならない行為だ」と激怒したのは、1回戦で起きた「握手拒否」騒動だ。
広陵は7日の1回戦で旭川志峯(北北海道)を3-1で破ったが、試合後にホームベースを挟んで両チームが行う「整列挨拶」後に、旭川志峯の3人の選手が、互いに健闘を称え合う握手を拒否してベンチへと下がったのだ。挨拶後の握手は、あくまでも自発的行為。3人の選手は悔しさのあまり余裕がなかったのか、たまたま忘れていたのか、その理由は不明だが、SNSでは暴力事案を起こした広陵へのレジスタンス行為と捉えられ賛否が飛びかった。
スポーツマンシップに欠ける行為だと批判する意見もあったが、「賛否はありますが、私は旭川の選手を支持します」「今回の事件に強い嫌悪感を持っていると思う」「広陵高のやった事は許せないという勇気ある意思表示だと思う」など、その行為を支持する意見が多く見られた。
整列挨拶後の「握手拒否」は過去にもある。1992年の夏の甲子園の2回戦の星稜(石川)対明徳義塾(高知)戦では、星稜の“ゴジラ”松井秀喜氏が5打席連続敬遠されて2-3で敗れた。この戦術は、社会問題にさえ発展したが、試合後の整列挨拶後には、松井を含む、星稜のほとんどの選手が明徳義塾の選手との握手を拒否してベンチへ下がった。
だが、広岡氏はこう持論を展開した。
「もし握手を拒否した理由が、広陵の暴力問題にあるのならとんでもない話だ。グラウンド外の問題を甲子園の戦いの中に持ち込んじゃいかん。両チームとも、全力を出し切って戦ったんだ。そこで試合後に握手をしないなんてもってのほか。スポーツマンシップに欠ける行為だ。その選手の今後のためにも、監督やコーチがたしなめておかないとダメだ」
広陵は騒動が冷めやらぬ中で13日の第4試合に登場。2回戦で津田学園(三重)と対戦する。
(文責・駒沢悟/スポーツライター)