
「ストレートに力が戻っている。文句のつけようのない経験があるんだからそのうち勝てる」“辛口”の巨人大物OBが門脇の痛恨失策で日米通算199勝目を逃したマー君の大記録達成に太鼓判?!
巨人の田中将大(36)が13日の東京ドームでの中日戦に移籍後初の中5日で先発、4回まで無失点に抑える力投を見せたが、5回に味方の守備の乱れで3-3の同点に追いつかれて、またしても日米通算199勝目を逃した。それでも巨人の大物OBでヤクルト、西武で監督を務めた広岡達朗(93)は「ストレートに力が戻っている。文句のつけようのない経験があるんだからそのうち勝てる」と、あと2勝に迫った大記録達成に太鼓判を押した。
5回併殺打でチェンジのところが…
不運としか言いようがない。
0-3で迎えた5回だ。一死一塁で山本を4-6-3におあつらえ向きのセカンド正面ゴロ。だが、門脇が送球を焦った。二塁へのスナップスローが大きく上へそれて、併殺でチェンジのところが一転、一塁走者まで生還させてしまう展開となってしまったのである。マーク君のリズムが狂った。
初回にも二塁打を許している上林に甘く入った147キロのストレートを捉えられライトフェンスの上部を直撃するタイムリー二塁打で1点差。続く細川は三塁ゴロに打ち取ったが、スプリットは落ちていなかった。赤信号は点滅していた。ボスラーにも落ちないスプリットをセンター前へ運ばれて同点となり、日米通算200勝に王手をかける勝利投手の権利を手にすることができなかった。
田中は石伊をライトフライに打ち取り勝ち越しは許さなかった。球数はまだ81球だったが、危険信号を察知した阿部監督は、自責点0だった田中の降板を決意。6回のマウンドに菊池を送り込んだ。その菊池が先頭のチェイビスに決勝の一発を浴びて、チームの勝利さえ失うことになるのだが、マー君の交代は継投ミスとは言えないだろう。
巨人の大物OBの広岡氏は田中の投球内容を評価した。
「ストレートに力が戻ってきている。ファームで足腰から鍛え直した成果だろう。田中の球種は豊富だが、小手先だけでは通用しない。やはり原点はストレート。それが戻ってきたからピッチングになるし、田中の表情にも余裕が出ていた」
田中は、立ち上がり二死二塁で4番の細川を迎えたが、3球連続ストレートでインサイドを攻めてカウントを整えた。最速は148キロをマークしていた。半速球に的を絞っていた細川は裏をかかれた配球に戸惑い、最後はアウトローに決まった147キロのストレートにピクリとも動けなかった。2回も先頭を出すが石伊をアウトコースの145キロのストレートで見逃しの三振、続くチェイビスにも初球にインハイに145キロのツーシームを見せてから最後も同じ場所にツーシーム。思わず手を出したチェイビスをショートフライに打ち取った。
3回には二死一、二塁のピンチを背負い、細川には三塁線を襲う痛烈な打球を打たれたが、リチャードがダイビングキャッチでストップ。どこにも投げれず満塁になるものの、ボスラーにはまた2球続けてストレートを意識させておいてスプリットを引っ掛けさせて一塁ゴロ。広岡氏が言う「戻ってきた」ストレートが効いていた。巨人打線も、1回にいきなり丸の先頭打者アーチから、3安打を集中させて、3点の援護点で田中を盛り立てた。
田中は4回をわずか6球で三者凡退。日米通算199勝は、目の前に見えていたのだが、野球は1人ではできないスポーツなのだ。