
え?あの大物も…夏の甲子園で“期待外れだった”9人のドラフト候補…「成長を感じず物足りない」と元ヤクルト編成部長
一方の野手では、スカウトの間で評判だった横浜の1m80、85Kgの走攻守揃った阿部葉太が評価を下げた。4試合で打率.375、4打点。三振はゼロで、名勝負となった準々決勝の県岐阜商戦でも、逆方向、センターへと渋いヒットは放っているが、迫力やスピードに欠けた。
「ストレートに差し込まれていた。彼も怪我の影響があったのかもしれないが大会を通じてバッティングが狂っていたように見えた。早大進学を選んだようだが、それが賢明。大学でレベルアップして4年後にドラフト1位を狙った方がいいし、その可能性がある」
阿部は早大進学が有力視されている。
外野手では智弁和歌山の1m80、88Kgの左のスラッガー、福元聖矢への評価も厳しかった。4番として1回戦の花巻東戦では、1回二死二塁から、萬谷堅心の低めに落としてきたチェンジアップをうまくとらえて、ライトフェンスを直撃する先制二塁打を放った。だが、1点を追う5回一死一、二塁で三球三振。その打席の方が松井氏の印象に残った。
「低めは拾えるが、高めのボールにはついていけてなかった。打撃フォームを崩しているのが気がかり。彼も阿部と同様、時間をかけた方が評価は上がると思う」
福元もプロではなく早大進学が有力だ。
内野手では京都国際の1m80、78Kgの三塁手、清水詩太が評価を落とした。3試合で打率.111と低迷。準々決勝の山梨学院戦では、2回無死満塁で田村颯丈郎の三塁ゴロを本塁へ悪送球。大きく上へそれて2者の生還を許した。
「スローイングが硬い。どこかでミスをするのでは?と見ていたが大事なところで悪送球をやってしまった。バッティングはヘッドが走っていなかった。彼の場合は振り幅が小さいのが気になる点」
捕手では、小松大谷の1m80、84Kgの田西称がスカウトからマークされていた。松井氏は「体力があって捕手としてうまさを感じた」としながらも「バッティングでは左手の使い方に課題が残った。振り幅がなく、変化球への対応に苦しんでいる」と指摘した。
また今大会で、打率.750、1本塁打、7打点と大爆発して注目を集めた高川学園の1m80、90kgの大型捕手である遠矢文太も「時間がかかる」との見方を示した。「当たれば飛ぶが、ヘッドスピードが遅い。もう少し全体的にプレーにシャープさが欲しい」
松井氏は最後にこうまとめた。
「高校時代に“まだまだ”と思われていた選手が、大学、社会人、独立リーグなどで大化けするのは、プロでは珍しくない話。厳しい評価をしたが、今後への激励だと受け取ってもらいたい」
数年後の“答え合わせ”でこれらの評価を裏切ってもらいたい。