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メッツの千賀がメジャーで白星デビュー。5回3分の1を投げ8奪三振1失点の素晴らしい投球内容だった(写真・AP/アフロ)
メッツの千賀がメジャーで白星デビュー。5回3分の1を投げ8奪三振1失点の素晴らしい投球内容だった(写真・AP/アフロ)

米メディアが8奪三振白星デビューのメッツ千賀“ゴーストフォーク”を絶賛…「宣伝通りの効果を見せた」「三振を量産する決め球」

 ソフトバンクからFAでメッツに移籍した千賀滉大(30)が2日(日本時間3日)、敵地ローンデポ・パークのマーリンズ戦で先発デビューを果たし、5回3分の1を3安打8奪三振1失点の好投で勝利投手となった。8つの三振はすべて「ゴーストフォーク」で奪い、米メデイアからは絶賛の声が相次いだ。

メッツでは歴代3位のデビュー戦奪三振数

 

最後は迷わずウイニングショットを投げ込んだ。
 6回の先頭打者、3番のジャズ・チザムと対峙した千賀がフルカウントから投じたのは、外角へ逃げるように落ちる137kmのフォーク。なす術なくバットに空を切らせた直後に、一塁側のメッツベンチからゆっくりとバック・ショーウォルター監督が出てきた。
 マウンドでねぎらわれながら、88球でのお役御免を告げられる。5回と3分の1を投げて3安打1失点、そして奪った三振は8を数えた。勝利投手の権利を得て引きあげてくる右腕を、敵地ローンデポ・パークへ駆けつけたファンがスタンディング・オベーションで出迎えた。
 実はこの瞬間、ある記録が生まれていた。メジャーリーグの投手の映像解析で名が知られ、パドレスのダルビッシュ有らとも交流がある「ピッチング忍者」ことロブ・フリードマンさんが、自身のツイッター(@PitchingNinja)を更新。投稿のなかでこうつぶやいた。
「MLBデビュー時のメッツ投手による最多奪三振 マット・ハービー:11(2012)コリン・マクヒュー:9(2012)ビル・デネヒー:8(1967)トム・シーバー:8(1967)千賀滉大(2023)」
 60年を超えるメッツの歴史で、デビュー戦で千賀が奪った三振数「8」は歴代3位タイとなる快挙だとフリードマンさんは伝えた。さらに別の投稿では、ニューヨークメディアを中心にアメリカでも広まりつつあるウイニングショットの異名「ゴーストフォーク」で、すべての三振を空振りで奪った点に注目。相手打者が三振する場面の動画を埋め込みながらこうつぶやいた。
「97マイル(約156km)のファストボールに、84マイル(約135km)のゴーストフォーク。打者がスイングミスする理由がよくわかります」
 千賀が交代した時点で4-1とメッツがリードしていたスコアは、最後は5-1で終わった。メジャー初登板を初勝利で飾った千賀はしかし、初回に冷や汗をかいている。
 幸先よく2点の援護を得て向かったマウンド。しかし、ツインズに所属していた昨年に打率.316でア・リーグ首位打者を獲得したルイス・アラエスに、カウント2-2から外角低目に投じた136kmのフォークをいきなりセンター前へ運ばれてしまった。
 続く2番は2019年にホームラン王を獲得しているホルヘ・ソレア。フルカウントから外角に投じた157kmの直球をライト線へ弾き返される。暴投で二塁へ進んでいたアラエスが楽々と生還し、さらに連続四球で無死満塁の大ピンチを招いてしまった。
 デビュー戦ゆえに緊張しすぎていたのか。それとも、力が入りすぎていたのか。ピッチングコーチが慌ただしくマウンドに向かった光景に抱いた本音を、地元紙の「デイリーニューズ」は「千賀はメッツの新たな失敗作になってしまうのか」と速報記事で伝えている。
「この投手のために、メッツは5年間で7500万ドル(約99億9600万円)もの大金を支払ったのだろうか。選手は日本を含めた他の国から、成功する保証のもとにやってくるわけではない。現時点で保証されているのは、球団が彼らに支払うお金だけだ。しかもメッツには悪しき契約を繰り返してきた歴史がある。そのように考えてしまうのは当然だった」
 しかし、絶体絶命の大ピンチでゴーストフォークの切れ味が蘇った。

 

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