
「高校野球のDH制と検討中の7回制はスカウトを困らせる」元ヤクルト編成部長が進む“甲子園改革”のドラフトへの影響を懸念「野手の素質を持った投手がその芽を摘まれないか」
松井氏はさらにこう続けた。
「DHはプロでは基本的に外国人やベテランが任されるポジション。高校野球でDHで起用される選手は、それだけ守備に不安があるということで、アスリート能力に疑問が残る選手をDHで使おうという前提でプロがドラフトにかけることは、よほどのスラッガーでないとほぼないだろう。西武のおかわり君やソフトバンクの山川のしてもドラフトの段階では守りも含めて評価されていた」
また松井氏は7回制の導入にも疑問を投げかける。
「100年積み重ねてきた記録という価値に問題が残る。7回制でノーヒットノーランや完全試合がバンバン出て、参考記録として残されないのであればどうなのだろう。また打者は打席数が減るため通算記録が頭打ちになるだろう。低反発バットが導入されて、投高打低となった傾向がますます大きくなる。選手の出場機会も減る。DH制を導入する理由と相反するのではないか」
プロのスカウト活動に大きな影響を及ぼすのはこの7回制だという。
「先発は3回でOKという野球になってくる可能性がある。終盤のスタミナや、集中力をどう保てるかなど選手の力量を判断する意味で重要な8、9回がなくなれば、スカウトの選手の見極めが難しくなる。逆に言えば、練習をチェックするなど、スカウトの手腕がますます試されることになるのだろうが、野球のレベルが下がってしまうことになりかねない」
松井氏はそう警鐘を鳴らす。
果たして7回制に高野連はどんな結論を下すのか。
変革が進む高校野球の行方に注目が集まる。
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