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那須川天心と井上拓真の超ビッグカードが11月に実現へ(写真・山口裕朗)
那須川天心と井上拓真の超ビッグカードが11月に実現へ(写真・山口裕朗)

急転!那須川天心vs井上拓真のWBC世界バンタム級王座決定戦が11月に実現へ…ファン垂涎の超ビッグカードの交渉が最終段階

 プロボクシングのWBC世界バンタム級1位の那須川天心(27、帝拳)とスーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(32、大橋)の実弟で、前WBA世界バンタム級王者で、WBC同級2位の井上拓真(29、大橋)が、WBC世界バンタム級王座決定戦で激突するファン垂涎の超ビッグカードが11月に実現する方向で交渉が最終段階に入っていることが3日までに明らかになった。王座決定戦は原則として1位と2位の対戦となるが、当初、井上は、IBF世界同級王座決定戦に照準を絞っていると見られていた。だが、両陣営共に「ファンが求めるカードを実現したい」との考えで歩み寄り、急転、実現へ向けて舵を切った。まだ不確定要素は残っているが、早ければ今月下旬までには決定され、正式発表される見込みだ。

 中谷潤人が返上を明言した空位のベルトを1位と2位が争う

 急転した。那須川天心と井上拓真のWBC世界バンタム級王座決定戦が11月に関東圏内で実現する方向で交渉が最終段階に入った。天心と言えば、9月14日に名古屋でクリスチャン・メディナ(メキシコ)との指名試合を控えるWBO世界バンタム級王者、武居由樹(大橋)との元キック王者同士の対決に注目が集まっていたが、それよりも先に初の世界挑戦で、いきなりファン垂涎の日本人対決が実現するのだ。
 WBC世界バンタム級王座は、現在、中谷潤人(M.T)が保持しているが、来年5月に待ち受けている井上尚弥とのスーパーマッチに向けて返上することを明言。すでにWBAスーパーバンタム級の1位にランキングされている。
 6月にIBF世界同級王者、西田凌佑(六島)を6回TKOで下して統一したWBCとIBFの2つの王座が空位となり、それぞれで王座決定戦が行われる。王座決定戦は、原則としてランキング1位と2位の対戦。WBC1位の天心と2位の拓真の対戦が王道なのだが、当初、拓真はIBF王座を狙うと見られていた。
 IBFは1、2位が空位で、3位がホセ・サラス・レイエス(メキシコ)、4位が井上で井上に王座決定戦への出場権利があった。
 だが、天心、井上の両陣営共に「ファンが求めるカード」の実現のため、このビッグカードを先送りせずにWBCの王座決定戦として行うことで急転、歩み寄った。
 一方の天心も、世界初挑戦となる王者決定戦の相手が、もし2位の拓真でなかった場合、3位は元2階級制覇王者の”レジェンド”ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)。王座決定戦にもかかわらず高額なファイトマネーを要求してくることが予想されるため、実現が難しく、4位のアンドリュー・ケイン(英国)或いは、5位のアレハンドロ・ゴンサレス(メキシコ)と対戦する公算が高かった。そうなればボクシング界独特の興行システムに不案内なライト層の”アンチ天心”ファンから、せっかくの世界戦にケチをつけられることが危惧された。ましてゴンサレスは強豪だが、天心の元スパーリングパートナーだ。
 また井上が所属する大橋秀行会長も「ファンが見たいカードを実現するのがプロモーターの務めだし、そういう時代になっている」とのポリシーを持っていて、その考えのもと、井上尚弥と中谷とのスーパーマッチ実現に動いた。
 天心が1位、井上が2位にランキングされた時点で、対決の気運が高まったことに加えて、両者の思惑が一致したことが、このビッグカードが実現へ向けて最終調整に入った背景にある。
  天心は8月23日に数千万円の身銭を切って生まれ育った松戸で開いた「天心祭」で取材に応じて、井上拓真との対戦について、こんな話をしていた。
「(WBCのランキング)1位になった。(王座決定戦は)自分が望んでいたわけではないが、(ベルトを)返上されたので、空いたところを取りにいく。必然的なこと」とした上で「ボクシングなんで(自分で)選べるかはわからない。僕が1位で2位が拓真選手なら、いつでもやる準備はできていますよ」
 すでに心構えができていることを明かしていた。

 

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