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JBCが穴口選手の死去を受けて「事故検証委員会」を設置した(写真・山口裕朗)
JBCが穴口選手の死去を受けて「事故検証委員会」を設置した(写真・山口裕朗)

「青木真也の提言は無視できない問題」JBCが穴口一輝選手の日本タイトル戦での死去を受けて「事故検証委員会」を設置

 日本ボクシングコミッション(JBC)は12日、穴口一輝選手が日本バンタム級戦後に死亡した問題に関しての原因究明、再発防止のための「事故検証委員会」を設置したことを発表した。医事の専門家など第3者を交えた7人の委員会で関係者へのヒアリングによる事実関係の認定などをした上で、4月15日までに報告書、提言をまとめてJBCが問題の解決、再発防止のために必要なルール改正の推進などを実行する。

 弁護士、医事関係者、メディア関係者など7人で構成

 穴口選手の命を無駄にはしない。
 悲しい事故が起きたのは、昨年12月26日に有明アリーナで優勝賞金1000万円の「井上尚弥4団体統一記念杯・バンタム級モンスタートーナメント」決勝として行われた日本同級王座戦。穴口選手が王者の堤聖也(角海老宝石)のベルトに挑戦した試合は、挑戦者が4度ダウンを奪われながらも、不屈の闘志で盛り返し、10ラウンドまでもつれる大激戦となった。最終ラウンドにダウンを奪った堤が判定で勝ったが、試合終了直後のリング上で穴口選手の足が痙攣するなどの異変が起き、控室に戻ってから医務室で意識を失い、救急車で救急搬送され、脳外科医が2人待機していた病院でただちに開頭手術を受けた。その後も意識が戻らない状況が続き、2月2日に帰らぬ人となった。この試合は2023年度の年間最高試合(世界戦以外)に選ばれた。
 穴口選手は最終ラウンドを前に陣営に「倒してきます!」としっかりとした言葉で宣言し、そのラウンドでダウンした際にも、すぐさまファイティングポーズを取るなど、レフェリーが試合続行不能と判断するような状況は見られなかった。運営上のミスはなかったという見解が多かったが、JBCは、公平を期し専門家の意見を多方面から集約するため、弁護士の岡筋泰之氏を委員長に、医事関係者、メディア関係者、試合役員、JBCの計7人のメンバーで構成された「事故検証委員会」を設置して、再度、この試合を徹底的に検証することを決めた。
 委員会は、関係者へのヒアリングを行い、事実関係を認定した上で、事故が起きた原因を究明し、再発防止策をまとめる。その報告書と提言をもとにJBCが「問題の解決を図り、今後のルール改正などを推進し再発防止に努める」ことになる。
 萩原実コミッショナーは「安全健康の管理が我々の役割であり、委員会の報告をもとに今回の事故の原因を究明することで今後の再発防止として何ができるかをルールの改正も含めて検討したい」と説明した。
 安河内剛事務局長は、「ボクシングは相手にダメージを与える競技です。ただ暴力ではない。安全が担保されなければスポーツとして成立しません。事故が起きてしまったわけですから、どこかに安全を守るルールに問題がなかったのかどうかをしっかりと内輪だけでなく、第三者の意見を交えて検証して再発防止策を練る必要があります。ボクシングというスポーツがあっていいのかどうかという存在意義への問いかけは、永遠に続けなければならないし、総合格闘家の青木真也さんが提言したことも無視のできない問題なんです」と付け加えた。
 総合格闘家の青木真也の発言が大炎上したのは年間最高試合の発表と穴口選手の逝去が重なった2月2日。青木が「年間最高試合が死亡事故なのはその競技を疑わざるをえない」「美談で済ませてはいけない話」などとXに投稿。あまりにもリスペクトに欠けた発言に井上尚弥ら多くのボクシング関係者から猛反発を受けた。安河内氏が「無視できない」としたのは、その発言ではなく「ルールを遵守して適切に運用する中で事故が起こったのだとするとそれはルールに不備があったことになるので今後ルール変更や試合前のチェック項目を増やしたりするのが再発を防ぐ意味では大切になってくる」と提言したことだ。

 

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