• HOME
  • 記事
  • 野球
  • 「万が一、阪神がCSで負けるようなことにでもなれば今年は日本シリーズの名称を使うべきではない」阪神が独走優勝し2位以下が勝率5割を切った状況でのCS行方に球界大御所が警鐘鳴らす
阪神の藤川監督が就任1年目で史上最速Vの美酒(資料写真・ロイター/アフロ)
阪神の藤川監督が就任1年目で史上最速Vの美酒(資料写真・ロイター/アフロ)

「万が一、阪神がCSで負けるようなことにでもなれば今年は日本シリーズの名称を使うべきではない」阪神が独走優勝し2位以下が勝率5割を切った状況でのCS行方に球界大御所が警鐘鳴らす

 阪神が史上最速で2年ぶり7度目の優勝を決めてファンの焦点は、5位の広島から3位の横浜DeNAまで4ゲーム差にあるクライマックスシリーズの出場権争いに移った。だが、2位の巨人以下、全球団が勝率5割を切っている状況で、巨人OBでヤクルト、西武で監督を務めた広岡達朗氏(93)は「恐れていた事態になった。万が一、阪神がCSで負けるようなことにでもなれば日本シリーズの名称は使うべきではない」と警鐘を鳴らした。注目のCSファーストステージは約1か月後の10月11日からスタートする。

 2位巨人が借金1で17ゲーム差

 

 阪神が1990年9月8日に優勝を決めた巨人の最速V記録を1日更新して2年ぶり7度目の優勝を決めた。78勝45敗3分けで2位の巨人とは17ゲーム差。貯金を独り占めにしての独走Vだった。ここからはCS争いに焦点が移る。早すぎる虎の優勝で本来ならば、関心の薄くなるペナントレースにファンの熱を残したという点で、セ・リーグでは、2007年から導入したCSの意義があるシーズンにはなった。
 だが、2位の巨人が現在借金1。1.5ゲーム差で巨人を追う横浜DeNAが借金4で、勝率5割を切ったチームが、もし“下克上”を成し遂げて、日本シリーズ進出を決めた場合、143試合を戦ったペナントレースの価値はどうなるのか、という切実な問題を突きつけられることになる。
 優勝インタビューで藤川監督はその問題に触れた。
「この143試合というのはペナントレースという競技。ペナントを取るその1チームだけがチャンピオンですから我々がリーグチャンピオンです。この後のクライマックスシリーズというのは、私たちにとっては別のステージ。このリーグチャンピオンっていうのは絶対に消えない。この誇りを胸にまた別のゲームをみんなで戦っていきます」
 異例の発言と言っていい。
 藤川監督も、勝率5割を切ったようなチームにCSで負けるというまさかの事態が起きた場合にペナントレースを制した優勝の価値が薄れることを危惧しているのだ。
 CS廃止論をずっと唱えている球界大御所の広岡氏は、改めてこの問題に警鐘を鳴らした。
「恐れていた事態になったな。2位以下は、勝率5割を切っている。万が一、阪神がCSで負けるようなことにでもなれば、プロ野球の存在意義が問われることになるぞ。商売を優先し過ぎると、こういうことが出てくる。もし阪神がCSを突破できなかった場合は、日本選手権シリーズという名称を使うべきではない。何か他の名称で大会を運営すべき。なぜならここまでプロ野球の先人たちが積み重ねてきた日本選手権(シリーズ)の歴史や伝統に泥を塗ることになるからだ」
 広岡氏は日本シリーズを正式名称である「日本選手権シリーズ」と呼ぶ。
 巨人時代にプレーヤーとして、そしてヤクルト、西武の監督として日本シリーズの舞台に何度も立ち、日本一の栄冠をも手にした。1985年には敗れたものの西武の監督として阪神との伝説の日本シリーズを戦っている。
 1950年に創設された日本シリーズは今年で76回目を数える。その歴史や伝統の重みを誰よりも知る広岡氏だからこそ、勝率5割を切るチームが、そこに出場する可能性を持っていることが許せないのだ。

 

関連記事一覧