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井上尚弥がリング上からファンん「誰が衰えているって?」と問いかける(写真・山口裕朗)
井上尚弥がリング上からファンん「誰が衰えているって?」と問いかける(写真・山口裕朗)

アフマダリエフは会見拒否…なぜ井上尚弥は「倒したくても我慢」を貫きコンプリートな判定勝利で1万6000人ファンを魅了したのか…知られざる苦悩と葛藤…1キロ軽かったモンスター

 アフマダリエフがリングを降りると、ファンは大きな拍手を送った。しかし、アフマダリエフは「会見には出たくない」と拒否して試合後のインタビューには応じなかった。代わりに会見場に姿を見せたアントニオ・ディアス・トレーナーは、2ポイント差が2人いた大差の判定結果について、「もっと接戦だったと思う。そんなに離れていない」と不満を漏らして「ダメージは一切ない」と強がった。
 井上のアウトボクシングは意外だったのか?と聞くとこう返した。
「井上は素晴らしい選手であり、どのようなファイトスタイルもできるのは疑いがないこと。そのつもりできた。ただ単純にMJよりも井上が強かったんだ」
 そして反撃に転じることができなかった理由を質問すると「ノーコメント」と言い、「井上もMJもしっかりと準備を整えていたが、スピードで劣っていた印象はある」と、王者との差を認めた。プロモーターは、「今後も井上を対戦リストに入れておく」と、再戦にターゲットを絞ることを示唆した。
 井上は、12月27日にサウジアラビア「リヤドシーズン」に乗り込んでWBC同級1位のピカソを迎え討ち、それをクリアすれば、来年5月のGWにいよいよ中谷とのスーパーマッチが待ち受ける。リングサイドにいた中谷が放送ブースに向かって歩き始めたのを認めた井上がリング上から「中谷くーん」と声をかけて、その足を止めさせた。
「あと1勝!お互い12月に頑張って来年5月に東京ドームを一緒に盛り上げましょう!」
 スポットライトを浴びた中谷は笑顔で頭を下げた。
 中谷は、今週中にWBCとIBFのバンタム級のベルト返上を発表し、井上と共に12月27日の「リヤドシーズン」に参戦して20戦無敗で18KOのキャリアを持つWBC世界スーパーバンタム級8位、WBO同級10位、IBF同級12位のセバスチャン・“ローガン”・エルナンデス(メキシコ)と、スーパーバンタム級のテストマッチに挑む方向。
 井上が言う。
「次は12月のサウジ。KOというものもボクシングの醍醐味のひとつとして大切にしている。これからはどちらにせよ、良いボクシングを見せていきたい」
 名古屋でプロ31戦目にして新境地を見せたモンスターは一体どこまで強くなるのだろう。
(文責・本郷陽一/ROSNPO、スポーツタイムズ通信社)

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