
え?一体何が?大谷翔平が復帰後初の6回ノルマを果たして8奪三振無失点も降板時に自らの頭をコツンとこづいた理由とは…元ヤクルト敵将は「完全にゾーンに入っていた」と絶賛
ロバーツ監督も二刀流スターが限界に近づいていることを感じ取っていた。
「6回はスタミナをかなり消耗したと思う。6人の打者と連続で対戦した際に、彼の息があがっているのがわかった」
だが、大谷は最後の力を振り絞る。
カウント2-2から甘く入ったスライダーをガブリエル・モレノに痛打されが、その鋭い打球はセンターの正面。マウンドを降りてベンチへ戻る大谷は、2度クビをふって汗をぬぐい、「いったいオレは何をしてんだ?」とばかりに右手で自らの頭をコツンとこづいたのである。
一体なぜ?何があった?
「最後の球に関しては投げてはいけない球。あそこで終わりのところではある。三振を取りにいくシチュエーションだと思うので結果的にアウトにはなたが、甘く入ってしまったのは一つ反省点なのかな」
それが自らの頭をこづいた理由。この向上心が、4度目のMVPが確実視される大谷の凄さだろう。
だが、ロバーツ監督は、「彼は疲れていたが、素晴らしかった。すべてを出し尽くしてくれた。それは間違いなく我々に必要なことだった。6回を投げ切ったことは非常に大きかった」と高く評価した。
大谷自身も、「またワンステップ踏めたのは良かった。最終登板で最終的なステップを踏めたのはプラス」と、ポストシーズンを前に6回のノルマを果たしたことに合格点を与えていた。
MLB公式サイトによると、ヤクルトでプレー経験のあるダイヤモンドバックスのトレイ・ロブロ監督は、「相手は今年最高の投手である大谷だった。彼は完全にゾーンに入っていた。我々にとって厳しい戦いになることはわかっていた」と脱帽した。
ゾーンとはアスリートが時折体験するという究極の感覚。集中力が高まり、自分以外の周囲の動きがスローに止まって見えるという。
「我々はなんとかして試合の流れをつかもうとしたが、彼は決してそれを許さなかった」と称えた。
ドジャースは7回にも1点を加え、4-0とリードを広げるが、ここから不安の残るブルペン陣が大炎上。2ランを浴びるなど1点差に詰め寄られ、9回にタナー・スコットが、死四球から崩れて悪夢のサヨナラ負け。それでも、2勝目が消滅した大谷は、「ブルペン陣は一丸となっている。結果が出ていない期間に関しては苦しいが、前半はブルペンのおかげで勝った試合もいっぱいある下位打線を中心に粘り強く得点するゲームも増えている。ポジティブな部分も、少しうまくいってない部分もある。あと少しをみんなで頑張りたい」と檄を飛ばした。
残り5試合で、ナ・リーグ西地区の優勝マジックは「3」のまま。パドレスとのゲーム差は1.5に縮まった。もし西地区で優勝できなければ、9月30日(日本時間10月1日)スタートのワイルドカードシリーズから出陣しなければならない。
ロバーツ監督は試合前に「ショウヘイは『調整段階は終わり、プレーオフモードに入っている』と言っていた。ワイルドカードの初戦登板?それはわからない。ただ最初のシリーズで登板する可能性はきわめて高い」と明言した。ワイルドカードシリーズか、ディビジョンシリーズか、ドジャースのポストシーズンの最初のシーズンがどちらになるかまだわからないが、いずれにしろ、ロバーツ監督は、大谷を出し惜しみせず、最初のシリーズにリアル二刀流で投入する考え。世界一連覇へのキーマンはやはり大谷だ。