
井上尚弥の「(拓真は那須川天心に)絶対勝てる」の言葉に偽りはないのか…「(井上家で)まとめてくるならかかってこい」と天心は逆襲を宣言して不利説を「常識を変える」
プロボクシングのWBC世界バンタム級王座決定戦が、同級1位の那須川天心(27、帝拳)と、同級2位の井上拓真(29、大橋)の間で11月24日に東京・お台場に新設されたトヨタアリーナ東京で行われることが25日、都内のリッツカールトン東京で発表された。拓真は実兄のスーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(32、大橋)から「絶対に勝てる」との太鼓判をもらったことを明かし、一方の天心は「(井上家で)まとめてくるなら、かかってこい」と対抗し、「1ラウンドからいく。バチっと決まればすぐに終わる」と宣言した。なお試合の模様はAmazonプライムビデオで独占ライブ配信される。
転校8戦目vs2度の世界王者
ファン垂涎の最高のカードがついに実現した。中谷潤人(M.T)が返上したWBC世界バンタム級のベルトを巡り、ボクシング転向8戦目で天心が初の世界戦へ挑み、しかも相手が元WBA世界同級王者で、これが再起戦となる井上拓真。モンスターの実弟だ。
黒のスーツに黒いTシャツに、キンキラキンの派手なスニーカーで、先に登場した拓真は緊張しているように見えた。
「過去一、モチベーションが上がっている。ワクワクするような一戦。どんな展開になるかは戦ってみないとわからない。緊張感のある試合になるが、王座に返り咲きたい。天心選手は、ボクシングに来てから急成長で上り詰めている。実力もある。王座決定戦に申し分のない相手だと思う。キックから無敗できているので、ここで黒星をつけたい」
そして囲み取材では、本音も漏らした。
「僕はボクシング1本でやってきている。踏み台にはならないぞ、そんな簡単には取らせないぞという気持ちでいきたい」
一方、黒の革ジャンでワイルドにまとめた天心はこう決意表明した。
「ここまでの7戦でつぼみをつけてきた。今回の試合で花開かせようと思う。拓真選手は僕より経験値は上。知らないボクシングをたくさん知っている。(拓真選手は)ボクシングそのもの。すべてを警戒してボクシングそのものを倒しにいきたい。ボクシングだけでなく、格闘技をやってきたことのすべてを使って拓真という男にぶつかっていきたい」
そして天心もまた囲み取材で本心を明かしている。
「(東京ドームで戦った武尊戦とは)規模が変わり、そことは比較にはならないが、キックを含めた(格闘)キャリアのすべてを含めて一番負けるかもしれないと思うカード。そこは自覚している。負けることは一切考えていないが、たとえ負けてもすべてを奪えると思うなよ、と思っている。負けることを受け入れる覚悟があるからこそオレが勝つ」
すんなりとビッグマッチが決まったわけではない。
大橋秀行会長が明かしたところによると、当初、拓真は中谷が同時に返上したIBFタイトルに照準を絞っていた。1、2位が空位で、3位がホセ・サラス・レイエス(メキシコ)、4位が拓真。こちらにも王座決定戦への挑戦資格があり、「真吾さんと自分は、お互いチャンピオンになってからの方が(天心戦は)いいという話をしていた」という。
帝拳サイドにもその意向は伝わっていて、天心が6月にドミニカの世界ランカーとの世界前哨戦を判定でクリアした時点では、1位天心、2位が、元2階級制覇王者の”レジェンド”ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)、3位が拓真で、4位がアレハンドロ・ゴンサレス(メキシコ)だったため、「最初はエストラーダか、もうひとりの海外選手かみたいなことを言われた」(天心)という。