今日世界注目の4団体統一戦…井上尚弥はバトラーを1ラウンドでKOできるのか…再燃した論争！

　プロボクシングのバンタム級世界4団体統一戦（13日・有明アリーナ）の前日計量が12日、横浜市内のホテルで行われ、WBAスーパー、WBC、IBFの3団体統一王者の井上尚弥（29、大橋）が1回目でリミットの53．52キロをわずか30グラムオーバー、再計量で70グラムアンダーでパスするというハプニングがあった。WBO世界同級王者、ポール・バトラー（34、英国）側の要求を受け、天秤式の計量器ではなくデジタル式の体重計が国内の世界戦で初めて使用された影響によるもので油断ではない。1ラウンドKO論争が再燃しているが、井上は「いくかいかないかは当日の直感力で決める」と本音を明かした。歴史的瞬間は衝撃の秒殺KOで決まるのか。

　計量で30グラムオーバーした理由はデジタル体重計に変更した誤差

　バトラー陣営が“罠“を仕掛けていた。
　前日計量で、井上はプロ24戦目にして初めて1回目に30グラムオーバーの計量ミスを犯したが、その原因に計量器の変更があった。バトラー側から「その計器は古すぎる」と重りを使った天秤式の計量器にクレームがつき、大橋ジムの同意を得て国内の試合で初めてデジタル体重計が使用された。
　井上は自宅とジムで体重を計ってリミットちょうどであることを確認してから1時間前に会場に来たが、変更されたデジタル体重計での予備計量では30グラムオーバー。唾を吐き、1時間の経過による代謝で「いけるかと思ったら変わっていなかった」という。
　バトラー陣営のギャラガートレーナーがタオルを用意しパンツを脱いでの再計量に備えたが、井上は拒否。トイレにいき5分後の再計量で70アンダーでクリアした。JBCはデジタル体重計の正確性をチェックしていたが、計量器の違いによる微妙な誤差で起きたハプニング。井上は「いいんじゃないですか。小ネタを挟んで」と笑い飛ばした。
　さらにバトラーは、ルールミーティングでは、日本では初お目見えとなるパキスタン製RDX社のグローブの使用を申請した。井上もパンチ力を生かせる柔らかく拳部分が薄いメキシコ製レイジェス社のものを使うが、それ以上に薄く感じるものだったという。
　だが、何をしても井上の絶対有利の状況は覆らない。
　リング内外の不安要素も消した。6月のノニト・ドネア（フィリピン）との再戦の際には、自宅に誰もいなくなったスキを狙われて空き巣に入られ試合後の井上にショックを与えた。被害は、バッグや貴金属で、金庫は運び出される途中で、警備員が来たため、盗られなかったが、まだ犯人もつかまっておらず、被害よりも家族への心配が先に立った。だが、今回は大橋会長が、特別に警備員を手配。井上の自宅だけでなく、近くに住む真吾トレーナー宅、アンダーカードで世界前哨戦を戦う弟・拓真（26）宅にも配置。また地域の警察署も動き、特別警戒体制を敷いてくれるという。防犯体制は万全。何の不安もなくリングに上がることができる。